ソフトバンクモバイルは9月19日、都内で緊急記者会見を開き、2013年1月から開始するLTEにおけるテザリングやiPhone向けの新たな下取りプログラムなどを発表した。ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、9月18日の夜に海外から戻ってきたばかりだという。
テザリングは、2年以上前から検討していたというが、最終的な決断は「昨日つぶやいた後」と明かした。孫氏は9月18日、同氏のTwitter上に寄せられた「テザリングについてコメントして欲しい」という要望に対し、「検討しましょう」との返答をしていた。
iPhone 5を発売するソフトバンクモバイルとKDDIは、ともにLTEサービスを9月21日からスタートすると発表。しかし、KDDIが先行してテザリングに対応すると表明したことで注目度が高まり、予約状況はKDDIのほうが優勢とも噂されていた。
KDDIは9月14日に記者会見を開き、2.1GHz帯の4G LTEサービスを皮切りに、1.5GHz、800MHzと3つのバンドによるLTEを順次拡大していくと発表。さらに、20万のアクセスポイントを持つ公衆無線LANスポット「au wi-Fi SPOT」で、より高速に通信ができる5GHzのWi-Fiに対応していることなどをアピールし、KDDIが強みとする“つながりやすさ”と高速ネットワークを全面に押し出した。
それらの発表を受けて孫氏は、「最近報道されている中で、KDDIはLTEの実人口カバー率で96%に達するのに対し、ソフトバンクは遅れていると報道されているが、実態はどうなのか。コメントをさせていただきたい」と切り出した。
iPhone 5が対応するLTEの周波数は2GHzのみだ。「この部分において、800MHzを含んで96%とし、iPhoneでは受けられないものも含んでいる。われわれは91%の実人口カバー率。LTE基地局の免許認可数は、(2012年8月18日時点で)KDDIの4516に対し1万673。iPhone 5におけるエリアの広さや大きさ、電波の届く範囲は、われわれは倍以上先行している」と反撃した。
さらに、「KDDIの倍以上のペースで、LTEの基地局ラッシュとプラチナバンドと両方を同時に進めているということ。いい意味で競争していこうではありませんか。同じ電波の許認可を得ているわけですから、2GHz帯どうしで競争しましょう。大いに受けて立つ」と自信を見せた。
発売ギリギリまで明かさなかったことについて、「未発表のことは発表しない。経営方針として、先々のほうはだまって水面下で開発するスタイルをとっている。iPhone 5に向けた基地局を用意しているかは、一切公言してこなかった。iPhone 5の発表を受けて、基地局をだまって静かに全速力で作り始めていたことを明らかにさせていただきたい」とし、免許を得ているもの以上に、基地局を増やしていく方針だとした。
テザリングは、iPhone 5が発売される9月21日から年末まで申し込みを受け付け、2013年1月15日からサービスが開始される。すぐには開始しない理由は、急ピッチで進めているLTEの基地局が十分に整った段階で開始したいからだという。
「われわれの思想として、ネットワークを倒してはならない。混雑しすぎないようにと運営してきた。他社は今年、去年の後半から全国的なネットワーク障害を10回ずつぐらい繰り返し、行政指導まで受けているが、この1年から2年近く、われわれは一度も全国的なネットワーク障害を起こしていない。他社がネットワーク障害を起こした理由の最大は、スマートフォンによるトラフィックの増大が背景にある。後出しジャンケンといわれるかもしれない。事実、後出しジャンケンだ。でも、それぐらい慎重にやらないとならない。それが大人のネットワークマネジメントだと思っている」と語った。
ソフトバンクモバイルは、日本で先駆けてiPhoneを導入したことで、4年前からトラフィック対策は他社に先駆けてできていた、と自信を見せる。「(トラフィックは)想像していなかったほとで、フィーチャーフォンと比較して、平均10倍から20倍のトラフィックが1台ごとにやってくる」と振り返った。
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