9月10日~9月16日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
先週の1週間は、Appleのイベントが開催され、iPhone 5、新型iPod touch、iPod nanoが登場した。製品についての詳報の記事も多数CNET Japanに掲載されたが、この新しいiPhone 5がどのように受け止められているのか、考えてみたい。
iPhone 5がリリースされてからの米国でのオンライン予約は、驚異的なペースで進んでいった。Apple Store Onlineが用意していた在庫は1時間で底をつき、AT&T、Verizon、Sprintの在庫も3時間前後でなくなった。まだ予約は受け付けているが、今からのオンライン予約では9月21日の発売日に手に入れるのは難しそうだ。
Appleはプレスリリースで、最初の24時間で200万台のiPhone 5が予約されたと発表している。ロイター通信が伝えるアナリストの予測によると、3日間で500万台の予約を受け、9月中に販売されるiPhone 5の台数は900万台~1000万台に積み上がるとみている。過去最高の売上を記録するのは堅い予測になりつつある。
端末に関する体験は、どのように変わっていくだろうか。
まず画面が大型化した。横幅をこれまでの端末と同じサイズに留めた点は、巨大化していくAndroidスマートフォンへのアンチテーゼだ。手の平が小さい筆者のようなユーザーは、安心してiPhoneを選び続けることができる。使い勝手やポケットへの収まり、アクセサリとのコーディネートなど、形が変わることによる変化も楽しめる範囲になるはずだ。また金属の美しさを楽しめる数少ないスマートフォンとして、手にするのが楽しみだ。
Appleとして初の4G LTE搭載スマートフォンとなるiPhone 5だが、Apple CEOのTim Cook氏は2011年4月、iPhoneがLTEをサポートしてこなかった理由について、「第1世代のLTEチップセットは多くの妥協を余儀なくされ、そのいくつかは我々が実行してよいものではない」と指摘していた。その妥協の大部分はバッテリの持続時間のことだ。A6チップと大型化した画面とバッテリ、そしてLTE対応のiPhoneが、実際の仕様でどのようなパフォーマンスを見せるのか、楽しみだ。
一方、iOS 6で中国国内のウェブサービス対応を進めているAppleだが、Passbookや地図などの生活連携やローカル機能を多く備える場合、米国と同じ体験を米国外で提供できるのか。どの国で使うかによって、iPhoneへの満足度が変化してしまう事態を招いている。
Appleが公開したiOS 6の新機能国別対応リストでは、地図の目玉となる3D表示は米国内でのみの対応となる。また対応がうたわれている機能でも、その情報の充実度などについて始めから米国と同じかどうかは別の問題だ。米国内でのユーザー体験が例えば日本のユーザーにも提供されるようになるまでは時間がかかりそうだ。その期間のiPhone 5のユーザーからの評価を、新しい端末デザインの魅力だけで支えるのは難しいだろう。
「iPhone 5」が4G LTEをサポートする可能性は?--アナリストがマイナス面も指摘(9月12日)今回同時に発表されたデバイスは、iPod touchだった。iPad miniもインパクト抜群だったと思うが、iPhone 5で変更されるポケットサイズのiOSデバイスの画面サイズに合わせたiPod touchを同時にリリースすることは、アプリ開発者、特にゲームアプリの開発を一気に新しい画面サイズに移行させる効果があったのではないだろうか。
A5チップと4インチディスプレイを搭載し、カメラの性能もiPhone 4と同等レベルに引き上げたことで、iPod touchのパフォーマンスは飛躍的に向上した。新しいグラフィックス環境を生かしたゲーム開発環境をiPod touchを基準に開発することができるようになり、少なくとも3年間程度のゲームプラットホームとしての環境を早期に見せることができたはずだ。
写真で見る新型「iPod nano」と「iPod touch」(9月13日)発表前後のAppleの関連ニュース、そして発表内容の個別記事を以下にまとめている。3年の歳月を費やして開発した新しいデザインのEarPodsは本当に楽しみだ。写真を見る限りでは、本当に耳にフィットするのかどうか、どういう耳への収まり方をするのか、想像がつかないからだ。
また、新型コネクタLightningは、コネクタやケーブルの買い換え需要を喚起するだけでなく、アクセサリメーカーへの新製品開発のきっかけを与える。ただ、大切にとっておいた余っているDockケーブルが、すべてそのままでは使えなくなる点は眉をひそめざるを得ない。
新型「iPhone」ドックコネクタとされる画像が再び登場(9月10日)Jobs氏が退任してからCEOがTim Cook氏となり、1年が過ぎた。iPhone 4S、新しいiPad、MacBook Pro Retinaディスプレイモデル、そしてiPhone 5。あっと驚くようなラインアップの変化や進化──と言うよりは、今も昔も変わらず、淡々と現実的な未来を作り続けているような印象だ。
Jobs氏がイベントに立っていた頃から、Appleユーザーやメディア、アナリストはAppleの発表に大きな期待を寄せすぎていたかもしれない。それはJobs氏の語り口にも原因があるし、iPhone以降の驚きがたくさんある新製品の数々を見てきたからかもしれない。
しかしより大きな視点で落ち着いて見れば、プラットホームとしての製品群はある程度完成された状態に落ち着いたと見ることもできるし、その環境を引き継いだのがCook氏だ、ととらえることもできる。もしかしたら、ここ数年間は「Appleのイノベーションが止まった」と映るかもしれない。あるいは、次のイノベーションのきっかけを与えるのは、我々のiPhoneの使い方次第、と言えるかもしれない。
ジョブズ氏からクック氏へ、CEO交代から1年--アップルで何が変わったか?(9月10日)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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