8月20日~26日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。
注目していたAppleとSamsungの裁判に関する判決がカリフォルニア州の裁判所で下された。その前日、韓国の裁判所でも判決が出され、今週は1つの大きな山場を迎えることになった。その中身を記事で振り返っていくことにしよう。
今週の動きから結審について、今週の動きを見ていこう。
アップルとサムスン、特許侵害訴訟で再び提訴件数を削減できず(8月20日)弁護士をテーマにする米国のドラマでも省かれがちな「陪審説示」。陪審員にこれまでの論点や証言など聞いた上で判断する際、どんな法律が適用されるかを判事が説明するプロセスだ。特許侵害に関して複数の件数について争う裁判であったため、米連邦地方裁判所のLucy Koh判事が読み上げなければならない書類は100ページ、1時間半もかかるという。そのため、Apple、Samsungに訴訟に関連する件数を減らせないか、あるいはこれまで2回ほど促してきたとおり「和解しないか」と場を設定してきたが、物別れに終わってしまった。
韓国裁判所、アップルとサムスンは双方が特許侵害との判断(8月25日)米国での裁判の評決の前に、韓国の裁判所での判決が下された。この中で、AppleはSamsungの通信技術2件の特許を侵害しているとされ、またSamsungはAppleが保有する「バウンスバック」(画面の上は時に行くと引っ張られて戻る動作)の特許を侵害しているとの判断を下し、Appleは1件あたり1万7650ドルの賠償金、Samsungには2万2000ドルの賠償金を言い渡している。
アップル対サムスン裁判、アップルに有利な評決--10億ドル超の損害賠償を認める(8月25日)注目されていた裁判はAppleが全面的に有利な評決が出されている。陪審員団による評決は以下の通り。
※ここで言う「トレードドレス」(Trade Dress)とは、ブランドロゴやタイポグラフィ、形状や色彩、包装や素材などの全体的な印象を示す、米国で認められている知的財産権のこと。
Appleとしては、25億5000万ドルの賠償請求で認められたのは半分以下だったが、ここは大きくこだわるポイントでもないだろう。また証拠として出された詳細な財務データ、開発の過程やプロトタイプ、経営層のメールなどは非常に興味深いものだった。小型化したiPadの検討について明らかになったほか、プロトタイピングに関するせめぎ合いも面白いものだった。
Samsungの内部資料で、iPhoneと自社製品を並べて競合研究をしつつ、通信会社に「(iPhoneときちんと競合できる)買ってもらえる」端末になることをし尽くしていた様子が分かった。その対象は米国で当時iPhoneを有していなかったVerizonであり、日本で言えばドコモと言うことになるのではないか、と思う。Appleとの取引は携帯電話端末市場での競合とは別のレベルで続いていくことになるが、今回の評決が米国以外の市場での裁判の結果にどのように影響していくのか。それ如何によってはより深刻な事態になる可能性もある。
また、AppleはAndroidを世の中に送り出すGoogleではなく端末メーカーとの訴訟を行っているが、Googleとの争いでは端末ではなくソフトウェアでの争いとなってしまい、Appleの主張の明確化にならない可能性がある。またMicrosoftとのクロスライセンスの例もあり、競争排除をしたいだけではない様子もうかがえる。
なお、この評決を受けて、Appleは「(特許や賠償金の問題でなく)独創性のような価値観についての争いだった」とコメントを出ているのは、Samsungによって、AppleのイノべージョンがSamsungは「米国の消費者にとって損失になる」と語っている。
アップルがグーグルを直接訴えない理由--法律専門家に聞く(8月20日)こちらは、サンノゼで結審した裁判とは別の裁判。サンノゼではハードウェアとインターフェイスに関するデザインについて争っているが、こちらはAppleがSiriのユニバーサル検索について、Samsungが作るGalaxy Nexusがソフトウェアの中核技術を模倣しているとして起こしている裁判。AppleはGalaxy Nexusの模倣によってiPhoneのシェアが奪われたと言うが、ご存じの通り、Galaxy Nexusはあまり売れていない。
Appleの時価総額は4月に6000億ドルをつけてから低迷していたが、8月に時価総額で6220億ドルを超え、Microsoftが記録した1999年末の時価総額6189億ドルを上回って史上最高額に達した。次世代iPhone登場直前が、おそらく最高記録をたたき出す瞬間になるのではないか、と見ている。
先週のニュースからSMSの脆弱性についてもう一度取り上げ、それに対するAppleの回答についての記事もご紹介したい。iOSではSMSについて、送信元と返信先というフィールドが、あの吹き出しのインターフェイスのせいできちんと示されておらず、悪意のあるユーザーへの情報提供の危険性があると言う。
AppleはSMSそのものが安全ではないとしているが、非常に手軽な吹き出しで会話をするようなiPhoneのメッセージアプリは、本当に信頼できる相手から送られたかどうか、調べることを怠る可能性もある。
米国ではSMSが多用されている。例えば筆者の場合、Verizonのケータイ料金の支払いの請求や銀行からのお知らせなどがSMSで届く。基本的にはウェブサイト上で支払をするのだが、支払をし終わると再びThank youのSMSが再び届くなど、銀行や電話会社などはSMSを多用している。ケータイ会社など特定の番号以外は、SMS着信にも0.20ドルかかるので、そんなに送って欲しいわけじゃないんだけれども。
そんな理由から、SMSのセキュリティは大きな問題になり得ると見られている。
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