次の「Apple TV」、続く裁判の行方--松村太郎のAppleニュース一気読み

 8月13日~8月19日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

 iPhoneの発表と事前予約が9月12日になりそうだとの記事や、Apple TVに関する新しい話題が報じられる中で、依然としてアップル関連のニュースでは訴訟に関する話題が多数配信されている。裁判の行方については、多額の賠償金に加えて、知的財産に関する権利、そしてメンツも関わってくる。果たして、陪審員にはどのように伝わっているのだろうか。

今年も豪華アーティストが日替わりで登場 - iTunes Festival 2012

トップアーティストのライブを無料で--アップル「iTunes Festival 2012」公式アプリ(8月15日)

 今年も、9月の1カ月間、iTunesフェスティバルが開催される。ロンドンの老舗ライブハウス「The Roundhouse」での日替わり30日間の連続ライブが行われ、ライブ試聴とストリーミング配信で楽しむコトができる。音源は後日iTunesでも販売されるが、世界中が生で音楽を楽しむ体験をアプリで試してみるのもよいだろう。

Apple TVについての展望 - 合理的な視聴スタイル確立なるか

Apple TVがケーブルテレビのセットトップボックスに?--アップル、CATV事業者と交渉(8月16日)
アップルが構想するウェブDVR--セットトップボックス上でソーシャルな世界を構築へ(8月17日)

 年末にも登場するのではないか、と見られている画面付きApple TV。あるいはiOS 6をベースとしたApple TVにアプリが配信されるのではないか、という見方も根強い。その中で、Apple TVをケーブルテレビのセットトップボックスにしてしまおうというアイディアについて交渉が行われていることが明らかとなった。

 現在米国では、TiVoのようなテレビ録画の機能はセットトップボックスにとって最も重要な機能の1つとなっている。また、テレビ放送はスケジュールによって放送されるが、放送されたらそのエピソードを自由に視聴したり、放映中のドラマについて、過去のエピソードを見られるようにしたりする機能にもニーズがある。

 皆がローカルで放送波を録画しなくても、ウェブに1つアーカイブがあって、そこにみんながアクセスできるようにすればいいじゃないか──というアイデアは、既にApple TVを介して映画やドラマを購入・レンタルできるようにしているiTunesの仕組みと放送の仕組みを組み合わせたようなものだ。

 リアルタイム視聴とソーシャルの相性のよさは今回のオリンピックでも証明されたが、リコメンド機能を持つYouTubeやニコニコ動画のような体験をテレビでも行えるようになると、合理的かつ現状に即するテレビの姿になっていくのではないだろうか。

ジョブズ氏の自宅に空き巣被害

故S・ジョブズ氏の自宅が空き巣の被害に(8月15日)
故S・ジョブズ氏宅から盗まれた「iPad」、道化師の仕事道具に(8月18日)

 1カ月前の話になるが、米国時間7月17日にカリフォルニア州パロアルトにあるスティーブ・ジョブズ氏の自宅が空き巣被害に遭っていたことが分かった。Kariem McFarlin容疑者が8月14日に逮捕されたという。しかし容疑者は、ジョブズ氏の自宅だということに気付かず空き巣に入り、コンピュータなど6万ドル相当以上が盗まれたそうだ。後日談があって、ジョブズ氏から盗まれたiPadは、その後大道芸人のKenny the Clownさん(本名Kenneth Kahnさん)の手に渡り、大道芸で使われていたそうだ。

アップルとサムスンの裁判 - 法廷戦術に、判事の苛立ちも

米判事、アップルとサムスンの弁護士に直接協議を命令--陪審説示をめぐる争いで(8月13日)
アップル、MSとのクロスライセンス契約の存在を明らかに(8月14日)
米判事、弁護士の「法廷演出」に苛立ち--アップルとサムスンの特許訴訟(8月15日)
サムスン、アップルとの訴訟で無線技術特許をターゲットに(8月16日)

 今週も引き続き心理戦の続くアップルとサムスンのカリフォルニア州サンノゼにおける訴訟。陪審員に対するアピールや演出、法廷戦術について、担当しているLucy Koh判事はうんざりしはじめているようだ、と報じられている。

アップルの別の裁判 - FRANDとは何か?

アップル、対モトローラ訴訟で略式判決を勝ち取る--FRAND特許めぐり(8月15日)
グーグル傘下のモトローラ、新たな特許侵害でアップルを提訴(8月18日)

 アップルのサムスンとの訴訟と同様、Googleによって買収されたモトローラの訴訟も世界各地で展開されている。iOS上での動画ストリーミングやWi-Fiに関する特許について、不正に高い使用料の支払を求めているとの訴えについて、アップルは略式判決を勝ち取っている。これは、該当案件がFRAND特許であることに基づいている。

 この記事の中で出てくる「FRAND」とは、「公正、合理的、かつ非差別的」に使用を認めるべきとされる、業界標準となった特許技術のこと。例えば通信技術など携帯電話の標準技術に採択された特許について、他社にも構成、合理的、被差別的に使用を認めなければならないことになる。

 欧州でサムスンやモトローラがアップル等の競合企業を訴えた際、FRAND違反になるのではないか、と欧州委員会が調査したり、FRANDを理由に販売差し止めを解除した経緯がある。つまり、必須技術の特許を取得した企業が支配的な契約を行うことができないことを意味しているが、この「合理的」の明確な定義もない。

その他

アップルのAuthenTec買収、狙いは指紋認証センサか--SEC提出書類(8月17日)
アップル、小売店スタッフのスケジュール調整でミスを認める--レイオフのうわさを否定(8月17日)
アップル、米司法省が出版社に提案した和解条件を批判--電子書籍の独禁法問題で(8月16日)
アップル、次期「iPhone」の米国での事前予約受付を9月12日に開始か(8月14日)
「iPhone」のSMS機能に脆弱性か(8月18日)

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