市場調査会社であるNPD Groupのアナリストによる予想では、「iPhone 5」は米国市場でのシェアを伸ばすうえで困難に直面する可能性があるという。
多くのアナリストは既に、米国時間9月12日に発表されるものと期待されている新しいiPhoneが大ヒット商品になるだろうと予想している。しかしNPDのアナリストであるStephen Baker氏は同社のブログにおいて、iPhone 5は「iPhone 4」や「iPhone 4S」が置かれていた状況とは異なる、さらに厳しい状況に直面することになるだろうと述べている。
米国のスマートフォン市場は飽和状態に近づきつつある。NPDの最近のレポートによると、米国における2012年第2四半期のスマートフォン販売台数は前年同期比で9%の増加に留まっており、そのほとんどはプリペイド携帯によるものだという。
こういった販売とそれに伴う市場シェアは、既にAppleとサムスン電子によって握られている。なお、両社のスマートフォン市場におけるシェアを合わせると50%を超えている。また、AndroidとiOSがその他のスマートフォン向けプラットフォームを圧倒している点を考えると、Appleはどのようにしてこれまで以上のシェアを獲得できるのかという疑問を抱かざるを得ない。
またiPhone 4Sは、それまでiPhoneを使っていなかったVerizonやSprintの契約者を数多く獲得することに成功した。これに対してiPhone 5の場合、米国におけるこういった潜在顧客の数は当時に比べると少なくなっている。
Baker氏の分析は、AppleがResearch In Motion(RIM)やMicrosoftといった劣勢に立つ競合他社から奪えるシェアは限られているという点では的を射ている。しかしAndroidについてはどうだろうか?
GoogleのモバイルOSであるAndroidは、「iOS」よりも高いシェアを誇っている。AppleはiPhone 5によってAndroidの優位性を突き崩す、あるいは少なくとも弱めることができるだろうか?サムスンを筆頭とするAndroid陣営は、Appleにとって手強い相手となっている。
しかし、iPhone 5が4G LTEに対応し、より大きなディスプレイを搭載することで、ようやくAndroid携帯と肩を並べられるようになるかもしれない。こういった機能を搭載することで、既存ユーザーの多くはアップグレードに踏み切る可能性が高いだろう。また、現在iPhoneを使っていないユーザーも、以前であればAndroid端末にしか搭載されていなかった機能を備えるようになったiPhone 5に心を動かされるかもしれない。
Appleが劣勢に立つ競合他社からこれ以上の市場シェアを奪えないというのであれば、同社はサムスンをはじめとするAndroid陣営に対して、技術面と法律面の双方において、これまで以上に激しい闘争を繰り広げるようになるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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