Appleによって与えられた米国時間8月24日の圧倒的な敗北。これによって苦しめられるのは、サムスンだけではない。Googleと「Android」にとっても大打撃だ。
カリフォルニア州サンノゼの連邦地方裁判所において、陪審員団は24日、サムスンが「iPhone」と「iPad」のさまざまなデザインを故意に模倣したと判断し、Appleに10億5000万ドルの損害賠償を認めた。この評決によって、Androidコミュニティー全体が厳しい一撃を受けている。
損害賠償の金額も大きいが、重要度としては、今回の陪審員団によってAppleの意匠権は有効で保護対象になるという判例が作られ、Appleに似たような外観の製品を持つ企業を訴える権利を与えたことの方が高い。このことは、Android搭載のスマートフォンやタブレットを構築している企業にとっては悪い知らせだ。
Recon AnalyticsのアナリストのRoger Entner氏は「これはGoogleにとって大きな損失だ。Appleによって実際に訴えられている企業が2社ある。Googleは単に名前が挙がっていないだけだ」と述べている。
サムスンが控訴するのは事実上確実だが、そのことは重要ではない。今回の決定は世界中に鳴り響き、さまざまな国の複数の法廷で行われている、無数のほかの訴訟に影響するだろう。Appleは、Googleおよびユニバーサル検索の特許とより直接結びついている、別の控訴審でもサムスンとにらみ合っており、Appleはこの訴訟でも勢いをつけるだろう。
確かに、この争いは今後数年勢いを増す可能性がある。しかし、今回の決定のおかげで、一般の人々の認識はAppleに味方するようになるだろう。決定は非常に一方的で、ほかのAndroidパートナーすべては多少神経質にならざるを得ない。控訴は選択肢の1つだが、良い判断とは思えない。
サンタクララ大学の法学教授のBrian Love氏は次のように語る。「この評決が、将来の裁判で起こることを暗示しているのは確かだ。そしてほかのAndroidパートナーの弁護士や経営者は間違いなく、この判例を詳しく検討している。彼らは、自分たちの成功の見込みが現在どのくらいあるのか考える必要がある」
サムスンは今回の決定を非難しており、消費者に損害を与えるものだと警告している。
サムスンは声明で「今回の評決は、Appleの勝利ではなく、米国の消費者にとって損失と見なすべきだ。この判決によって選択の幅と革新が縮小し、価格がより高くなる可能性がある」と述べた。
また、同社は争い続けることを明言している。
米CNETはGoogleにもコメントを求めたが、本稿執筆時点で回答は得られていない(編集部注:Googleは米国時間8月26日、The Vergeに対して出した声明において、今回対象となっている特許のほとんどは「Android OSの中核部とは関係ない」と述べている)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス