7月9日~7月15日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「Appleニュース一気読み」。
中でも米国の環境基準を巡るニュースは、Appleが対応を二転三転するなどやや珍しい場面も見られた。このほか、新iPhoneに対する期待の高まりやイギリスの判事の珍しい棄却理由などをご紹介する。
事の発端は、Appleが6月に、これまで自社製品が準拠しているとして認定を取得してきたEPEATを返上していたことが明らかになったところから始まった。
EPEATとはElectronic Product Environmental Assessment Toolのこと。米国環境保護庁から資金を受ける非営利団体で、消費者に環境に配慮した製品を提供し、環境技術を革新させるメーカーを支援するという趣旨。米国政府は使用電子機器の95%をEPEAT認定製品にすることを義務づけているほか、米国企業や大学などにもそういった基準を設けているところも多い。
そのため、サンフランシスコ市のようにEPEAT製品を使うことを原則としている自治体は、Apple製品を購入することができなくなってしまう、という事態が発生しているのだ。
Appleは自社サイトで環境への熱心な取組を発表し、EPEATやユーザーからの批判に対して、Energy Star 5.2に準拠するエネルギー効率基準への適合や、温室効果ガス排出量の公開による業界のリード、EPEATでは測定されていない有害物質の排除などにおいて優れていると反論している。
AppleにとってEPEATの条件で問題とみられるのは、製品がリサイクル向けに容易に解体できるという点だ。iPhone、iPad、MacBook Pro Retinaディスプレイモデルは部品がケースに接着されており、交換や解体が難しい。そこでAppleは別の環境基準導入を検討するとしていた。
ところが週末になって、AppleはEPEAT離脱を撤回。特にビジネス向けの基盤をより強固なものにしたいAppleにとって、業界の基準となっているEPEATをむげにできないという判断が働いたのではないだろうか。
今後同様の問題が起きるとすれば、EU市場だろう。microUSBと互換性のある充電ケーブル、電池等の部品の交換可能など、Apple独自のデザインと相容れない基準が問題になる可能性を秘めている。
iPadの勢いが止まらない。Needham & CompanyのアナリストCharlie Wolf氏によると、2012年4月~6月期のiPadの出荷台数は2000万台だったと述べた。Wolf氏の予測は1300万台であり、予測を大幅に超える出荷を記録したとみられる。ちなみにiPad 2が登場した2011年の同期は925万台、2012年1月~3月期は1180万台だった。
iOS 6で中国語対応を向上させており、ここに中国市場が加わることで、その台数はさらに伸びることが予測される。同時に、ディスプレイやフラッシュメモリ、バッテリなどのパーツ供給への懸念も出てきそうだ。また年内に小型版のiPadが登場する可能性もあり、環境が変わってきそうだ。
この数字は予測値であり、7月24日のAppleの決算発表で、正式な出荷台数が明らかにされるとのこと。
孫社長、iPadによる情報武装で「ワークスタイルが変わる」(7月11日)そんな快進撃が伝えられるiPad。サンフランシスコ周辺ではライフスタイルへの溶け込みが見られ、老夫婦がカフェのWi-Fiを拾って、孫とFaceTimeを楽しむといった風景も珍しくない。日本でも、iPadのカメラで子どもをとらえる親の姿を東京でも目にするようになった。
ソフトバンクのビジネス向けイベントSoftBank World 2012で講演にたった孫正義氏は、日本では既に6万社がiPadを導入しているとのデータを披露し、「iPhoneもiPadも持っていないという方は、今日から人生を悔い改めていただきたい。すでに時代から取り残されている」と指摘した。特にペーパーレス化によってコストや社内手続きといった営業効率が高まり、iPadは書類やカタログなど、社内外で効果的に活用できるとしている。
デザインの国の意地なのか、お国柄のキツい皮肉なのか。AppleがSamsungのGalaxy Tabに登録意匠を侵害されたとして訴えていた裁判で、英国の高等法院は、視覚的に格好良くないため、侵害していないという判断を下した。
そう述べたのはColin Birss判事。Galaxy TabとiPadには、薄さや背面のテクスチャなど50を超える認識可能なデザイン上の相違点があるとし、「それらは、Appleの意匠が保有する、控えめで極端なシンプル性を共有しない。それらは、同じほど格好良くはない。かもし出す全般的な印象が異なる」とのこと。
もちろん、Appleが各国で展開する類似製品の販売差し止めを中心とした訴訟戦略にとってネガティブなことであり、Samsungは自社の知的財産が認められたとして歓迎しているが、余計なレッテルを裁判所に貼られてしまったことになる。
MacBook Pro Retinaディスプレイモデルも、カスタマイズをしない店頭モデルであれば、Apple Storeなどで入手しやすくなってきているようである。分解して1つずつのパーツを写真で解説する解剖記事と、レビュー記事が掲載された。
筆者も発売のタイミングから使い始めてそろそろ1カ月が過ぎるが、これまでのMacBook Pro15インチモデルやMacBook Air 13インチモデル以上にバッテリが長持ちするため、ノマドワーク時のピットイン(つまり、電源があるカフェでの作業)が少なくなり、「移動の効率化」という恩恵も体験できている。
アップル、第3四半期に13インチRetina Displayを生産開始か--MacBook Proに高まる期待(7月11日)RetinaディスプレイのMacBook Proは魅力的だけど、15インチは大きい──。そう考えている方に朗報。13.3インチ、2560×1600ピクセルのRetinaディスプレイの生産が始まったのではないか、という記事が出ている。しかし、15インチのRetinaディスプレイ生産も遅れており、ターゲットとなっている2012年第3四半期に間に合うかどうか不透明だ。
ただ、筆者は13インチのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルは高い確度で登場すると考えている。
現在のAppleが展開するモバイルPCのラインアップで、13インチではMacBook AirとMacBook Proが競合しており、ディスプレイで言うとAirの方が高解像度で価格も10万2800円からと同じ。HDDかフラッシュストレージか、光学ディスクがあるかないか、重いか軽いかといった差はあるが、筆者が注目しているのは価格だ。
MacBook Proは15インチモデルはRetina化することで付加価値を高め、最安値のモデルの価格を日本円で3万円高く設定することに成功した。つまり15インチのノートブックが欲しいユーザーにとって、より高い単価を提案できるようになったことを意味し、特に米国では増え続けている実店舗のApple Storeの売上を底上げできる可能性がある。
Sony、Microsoft、Samsungなど、Appleに続いて米国内で実店舗を展開するブランドが増えているのは、AppleがiPhoneやiPadなどをめざましい成功とともに立ち上げる姿を見てきたからだ。全く新しい製品をユーザーに触れてもらう場、分からないことがあったときに駆け込める場所など、体験のウェブ化、モバイル化が進む裏でそれを支えるテクノロジーは手厚いサポートが重要であることが、トレンドとなっている。
その他店舗展開による優位性を担保するためにも、店舗の採算性が重要であり、主力製品であるMacBook Proの価格向上は、不可欠。ゆえに、13インチのMacBook ProのRetinaディスプレイモデルは必ず登場すると考えている。
一部の報道では7月24日の決算発表中にリリースするのではないか、と予測されているOS X 10.8 Mountain Lionのリリース。開発者向けには、最終版であるGolden Masterが配布され、いよいよリリースの最終段階に入った。アップデートはMac App Storeを経由して提供され、19.99ドル、日本円で1700円でリリースされる。また新しいMacを購入した人には無償でアップデートが提供される予定。
新OSでは、TwitterやFacebookとの統合、AirPlayへの対応、音声認識、ノート、GameCenter、iMessageといったiOSで先行して提供されている機能が搭載される他、アプリのインストールを管理してマルウェアを防ぐ新セキュリティ機能「Gatekeeper」も装備される。
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