LinkedInは非常に2011年的だ。
高度な技術を持つソフトウェアエンジニアを求めて熾烈な競争が展開される市場において、優秀な人材の獲得を目指す企業は、従来型のサービス、つまり候補者の職歴を提示するが、実際の仕事については分からないサービスに頼っていると、最高の人材を見逃す可能性が高くなることに気付き始めている。
今、この分野で「GitHub」が新たに注目を集めている。採用担当のマネージャーや求人担当者が、書類上で最も良い人材に見える候補者だけでなく、自分の能力を積極的に(そして公に)明らかにしている候補者を見つけるためにGitHubを利用する機会が増えている。
シリコンバレーで最も注目を集めるベンチャーキャピタル企業の1つであるAndreessen Horowitzは7月、同社としてはこれまでで最高の投資金額となる1億ドルをGitHubに投資した。GitHubは、オープンソースプロジェクトの組織化を促進するために構築された企業で、商用ユーザーおよび企業ユーザーへのライセンス販売によって売り上げを得ている。
Andreessen Horowitzの共同経営者であるBen Horowitz氏は、同社が9桁にも及ぶ額を投資した理由について尋ねられ、GitHubが昨今、オープンソースコードの中心的な集積場所として支配的な地位を獲得していることを挙げた。しかし同氏は、テクノロジ分野の最高峰の才能を見つける場としてのGitHubの役割が拡大していることも賞賛した。もっと正確に言うと、それはLinkedInに代わる好ましいサービスだということだ。
Horowitz氏は米CNETに対し、「私は、テクノロジ分野のエンジニア審査プロセスを担当している友人と話していた。『採用活動には何を使っているのか』と尋ねたところ、友人はGitHubを使っていると答えた。なぜLinkedInではないのかと尋ねると、友人は『彼らの作品そのものを見ることができるのに、履歴書を見る必要があるのだろうか』と答えた。その言葉を聞いて以来、私はあらゆる人に、エンジニアの採用活動(に何を使っているのか)について尋ねた。そして全員がGitHubを使っている。大したものだ。もしあなたがエンジニアで、GitHubを使っていないとしたら、あなたは存在しないに等しいということになる」と述べた。
Horowitz氏の見るところでは、GitHubは、最も優秀なエンジニアたちが自分のコードを共有するために集う場所になりつつある。その結果、同サービスは業界で最も重要なプロジェクトおよびコラボレーションツール、さらにアプリケーションライフサイクル管理システムの宝庫となっている。Horowitz氏は、「GitHubには究極に有利な点がある。彼らはあらゆるエンジニアとあらゆるコードを有している」と述べた。
この評価はテクノロジ業界全般に広まっている。小規模な新興企業から世間に認められた有名な大企業に至るまで、GitHubは優秀な才能の発掘場所と見なされるようになった。確かに、GitHubにプロフィールを掲載せずにシリコンバレーで就職するエンジニアは今でも存在し、そうした人々にとってLinkedInは今でも雇用のライフラインだ。そして、企業によってGitHubの利用状況はさまざまかもしれないが、GitHubにプロフィールを掲載している開発者は、そうしていない開発者より有利である、というのが一般的な見方になっている。
時間を割いてGitHubのプロフィールを作成し、コミュニティーへの積極的な参加に精力を注ぐエンジニアは、それだけで他者より高く評価されることがある、という印象を多くの企業が抱いている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」