エンジニア発掘場所としての「GitHub」--人材採用で企業も注目 - (page 2)

Daniel Terdiman (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年08月22日 07時30分

 Zappos LabsのディレクターであるWill Young氏は、「これは彼らの情熱の対象やコーディングスタイル(良きにつけ悪しきにつけ)、また楽しいサイドプロジェクトを見る優れた機会だ。開発者がニーズを見出してすぐにソリューションをコーディングし、それをコミュニティーと共有するのは喜ばしいことだ。われわれは、問題を解決する能力を持つ素晴らしい人材がチームの一員になってくれることを求めている。面接や履歴書からこうしたことを判断するのは困難だ。しかし、ある人のGitHubライブラリを見て、『何て素晴らしい、見事だ』と思うことが時折ある」と述べた。

 GitHub自身が人材を求めて自らのサービスのコミュニティーに目を向けている。書類から受ける印象は一番ではないかもしれないが、実際の現場で優れたプログラミング技術を示す人間を雇うこともある。GitHubを熱心に推し進めるZach Holman氏は、「以前は出身大学ですべてが決まっていた。それがもはや事実でなくなったのは素晴らしいことだ」と述べた。

 さらにHolman氏によると、外部の企業が採用候補者の能力を測る最初の指標としてGitHubを利用していることを示す兆候が、GitHubの社内でより多く確認されるようになっているという。「ある人物がオープンソースに貢献してきたかどうかは、その人物が有能なエンジニアであるかどうかを示す優れた指標だ」(同氏)。

自分自身を差別化する

 GitHubで作業する人々にとって特に魅力的なのは、同サービスが始まった理由が、人々が自らの作品を共有するためだけであったにもかかわらず、今では開発者が自分自身を差別化する素晴らしい手段になっているということだ、とHolman氏は付け加えた。

 しかし、無私無欲でオープンソースプロジェクトに参加しているという印象は、人材を雇用する企業にとって、ますます魅力的なものになっている。Highland Capital PartnersのリクルーティングパートナーであるCraig Driscoll氏は、「わたしは、われわれのポートフォリオ企業のいくつかが人々の(GitHubに対する)貢献の頻度と活動の度合いに言及し、それをコミュニティーにおける彼らの信頼性と結びつけているというのを耳にしたことがある。それらのコミュニティーを利用していること、(特に)貢献の頻度と質が、採用されるために必要なものになっているようだ」と述べた。

 実際に、一部のテクノロジ企業はGitHubを利用することにより、新しい仕事を積極的に探すことさえせず、なおかつ、履歴書をオンラインで公開していないかもしれないような新たな採用候補者を見つけている。もちろん、雇用されるほぼすべての人は、従来のように履歴書をチェックされ、学歴を詳しく調べられる。そして求人担当者は依然として、LinkedInの膨大な数のアクティブユーザーを精査している。しかし、候補者たちのGitHubにおけるプレゼンスは、唯一かつ最も重要な要素となっているかもしれない。Twilioのエンジニアリング担当ディレクターで、クラウドベースのコミュニケーションアプリの開発者でもあるTim Milliron氏は、「われわれは、多くの(オープンソース)プロジェクトに関わり、それらのプロジェクトに成果を還元してきた人々を常に探している。われわれは、オープンソースに貢献する人々を好ましく思っている。われわれはそれを非常に重要視している」と述べた。

 Milliron氏によると、Twilioは1年以上前から採用活動のプラットフォームとしてGitHubに目を向けてきたが、そうするペースはこの6カ月の間に大幅に加速したという。同氏は、「われわれの検討対象の候補者が20人いたと仮定して、そのうち5人がGitHubにプロフィールを掲載し、1人が(多くの貢献)をしていたとしたら、その1人はリストの一番上まで一気に上がってくる可能性が高い」と述べた。

 もちろん、GitHubはテクノロジ分野の才能を求める企業が注目している唯一のオープンソースコミュニティーというわけではない。しかし、テクノロジ業界の人々に話を聞くと、注目度についてはGitHubが一番高いように思える。QuickPayの最高経営責任者(CEO)で、Microsoftの「Bing」の基盤となったテクノロジを開発したPowersetの創設者でもあるBarney Pell氏が言うように、「GitHubのようなオンラインのオープンソースコミュニティーには大勢の開発者が集まるため、そこが採用活動の場になるのは当然のことである」。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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