第1回 コンサルティングセールスとは? - (page 2)

コンサルティング・セールスの全体像

 セールスとは、お客様と接触して販売活動をするときのことだけを言うのではありません。まずは、コンサルティング・セールスの全体像をみてみましょう。

準備

 まずお客様は誰か、どのようなニーズをお持ちか、自社の商品やサービスに対してどのような反応をされるか、など様々な状況を考えます。準備が万全であれば、成功の確率は比例して上がるものです。

初対面

コンサルティング・セールス・サイクル(荒巻基文「『コンサルティング・セールス』のすべてがわかる」(産業能率大学出版部)を参考に作成)
コンサルティング・セールス・サイクル(荒巻基文「『コンサルティング・セールス』のすべてがわかる」(産業能率大学出版部)を参考に作成)

 いよいよお客様に会ったら、お客様に信頼していただかなければいけません。たとえ商品やサービスが優れていたとしても、営業担当者の対応が気に入らなければ、お客様はその営業担当者から購入することはないでしょう。自分とソリの合わないお客様でも冷静に対応できるよう、タイプ別の対応をマネージすることが肝心です。この連載では、この初対面の信頼構築に向けた考え方やスキルを中心に紹介します。

説明

 信頼が構築できたら、商品やサービスを理解していただけるように説明します。一方的に話すのではなく、お客様のニーズを聞き出し、お客様が語ったニーズを拡大してさらに大きな提案ができれば最高です。お客様の問題点を解決する手段として商品を組み込んでいくソリューション(解決策)という形態の提案が求められます。

反論への対応

 お客様の価値を高める解決策の説明に成功しても、その時点でお客様が購入を決定することは非常に少ないです。多くの場合、お客様は最後にもう一度、反論・反対の態度を示します。この段階で出される反論こそが、実はクロージングへ進めるサインです。

クロージング

 反論を乗り越えたら直ちにクロージングに入らなければいけません。しっかりクロージングのステップを準備しておきましょう。

アフターフォローから次のステップへ

 成約し、お客様にサービスをお届けしたら、それで「一丁上がり」ではいけません。コンサルティング・セールスの成功の秘訣は、いかにリピートしていただくかにかかっています。さらなる信頼関係を構築するためにアフターフォローをしっかりと行い、その過程で新たな問題を発見、問題を整理して準備し、再び説明に進めていきます。このサイクルを通して、お客様は常連客に、常連客は紹介者になっていただくようにしましょう。

 以上がコンサルティング・セールスの全体像です。ニーズ自体を創り出し、セールス活動がサイクルになっていくことをお分かりいただけたでしょうか。

 次回は「初対面」におけるお客様の心理を紹介します。

著者 荒巻基文 紹介 
1949年生まれ。京都出身。京都教育大卒。ソニー企業にて海外での人材育成業務などに携わり、96年に独立。企業研修や指導を行うアイビジョン株式会社を設立し代表取締役。2009年から産業能率大学経営学部教授。部下指導法や営業、プレゼンテーションなどのビジネススキル、キャリア開発、異文化コミュニケーションなどの領域で、著名企業での研修実績多数。著書は、『「教え方」教えます』『プレゼンテーションの技術』『Perfect「ビジネスコミュニケーション」』(いずれも産業能率大学出版部)など。この連載の詳しい内容は、『コンサルティング・セールスのすべてがわかる』(産業能率大学出版部)で多く紹介している。

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