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[ブックレビュー]どこまでが公正でどこからは不正なのか--デジタル時代の海賊とは

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フィルムアート社
詳細:単行本 / 419ページ / フィルムアート社 / 価格:2730円 / 著者:マット・メイソン / 監修:玉川千絵子、鈴木沓子、鳴戸麻子、八田真行 / 発売日:2012/07/23 / 外形寸法 (H×W×D):18.8cm×13.0cm×2.8cm / 重量:0.5 kg
内容:どこまでが公正でどこからが不正か、線引き難しいとされる知的財産権、著作権の侵害。一方で独自のジャンルを築くリミックスと呼ばれる手法。リミックスは悪かそれとも新たな創造か、を問いかける1冊。
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 人のものを奪う海賊行為は糾弾されるべきではあるが、知的財産と言われる個人の持つアイデアや作品を奪う輩が、新たな文化や市場を生み出してきたのも事実だ。

 どこまでが公正でどこからは不正なのか。不正から人気が出て一大市場を作り、無視できなくなることも多々ある。そこに「海賊のジレンマ」が存在する。何もかもがデジタル化され、簡単に全世界に配布できる今日、海賊のジレンマの解決策はあるのか。

 本書は、音楽、アート、映画、文章などの「アイデア」や「作品」を不正に拝借して、二次的にばらまく海賊行為そのものの歴史と、海賊行為を行う人々、あるいはそれに対抗する人々について、膨大な資料を基に考察された非常に重要な発表といえる。

 型破りな音楽であったパンクから始まり、定型的なテーマは扱わない雑誌、音楽から映像にまで発展した「リミックス」、そしてヒップホップ、どれも人気があり、利益を生み出す市場を作り上げている。海賊たちを目の敵にしていても、利益は得られないばかりか、本家が押しつぶされそうになる。それならば手を組むべきか否か。

 著者は、この葛藤を「囚人のジレンマ」というゲーム理論をもじって「海賊のジレンマ」と名付けた。解決策を提案してはいるが、もちろんそれがすべてを解決するわけではないだろう。著作権とは、文化とはなんなのか、アイデアや作品で利益を得るとはどういうことか、深く考えさせられる。

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