ヤフーが石巻でハッカソン--地域の需要を狙った多彩なアイデア - (page 2)

藤井涼 (編集部)2012年08月01日 10時40分
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釣った魚をおすそ分けするサービス

 4チーム目のFishinomakiが発表したのは、釣った魚を欲しい人に無料であげることができるSNS「Fishinomaki」。釣り人が釣り過ぎて余ってしまった魚の情報をネット上にアップし、それを見てほしいと思った人が魚を受け取りに行く。

 釣り人は、釣り船を出している釣具屋などに譲ってもいい魚を預け、釣具屋に預けられた魚を、Fishinomakiのスタッフが回収しに行く。回収した魚は石巻商店街にあるFishinomakiの事務所に保管され、魚をほしいと宣言した人が受け取りに行く。受け取った人はサイト上で「いいね!」の石巻版である「いいなや!」ボタンを押して気持ちを表現する。

 収益は広告でまかなう。煮魚などの料理の際に、一緒に使える野菜や食材を販売している商店街の店舗の広告を表示するほか、検索した魚に関連した釣り具や料理グッズを表示する検索連動型広告も展開することで、完全な地産地消を目指したいとした。

  • サービスの概要

  • 利用できる機能

  • 「Fishinomaki」のサイトイメージ

 審査員からの、釣った魚を譲ろうと思う人がどれほどいるのかという質問については、キャッチ&リリースを目的とした釣り人もいると説明。実際に広告を出稿する店舗があるのかという質問には、地元の釣具屋などを中心に訴求していきたいとした。

地域の問題を発信する新マスメディア

 5チーム目のH&Yが発表したのは新たなメディアサイト。各地の個人ジャーナリストがプロフェッショナルな映像を通じて、大手マスメディアが報じない“不都合な真実”を全世界に向けて発信する。映像はYouTube、Facebook、Twitterに同時アップロードできる。

 アイデア提案者の増田拓史氏は、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」で、「宮城県石巻市・旧北上川 堤防を建設する前の情景を記録するプロジェクト」を展開するなど、すでに実績を残している人物。

 今回発表したメディアサイトでは、「地域+名前+Cast」という形で、各ジャーナリストが全国の地方の問題を発信する。たとえば増田氏の場合は「石巻 HiroCast」といった具合だ。ジャーナリストの活動に共感したユーザーに、サイト内に設置された少額寄付ボタン「Grow!」をクリックしてもらうことで運営するとしている。

  • マスメディアが報じない情報を発信

  • 「石巻 HiroCast」サイトイメージ

  • ジャーナリストに少額寄付ボタン「Grow!」で寄付する。

 審査員からは、寄付のハードルが高いためコンテンツの信ぴょう性を高めることや、クオリティを維持するためにジャーナリストを厳選することが重要になる、といった意見が挙げられた。また、映像に特化した理由について尋ねられた増田氏は、その場の声や表情、雰囲気は映像でなければ伝わらないと強調した。

繭クラフトのキットを販売

 6チーム目のチームMayukariが発表したのは、宮城県の養蚕農家を救いたいという思いから生まれた、繭クラフトのキット販売サービス「Mayukari」。繭クラフトとは蚕の繭を加工したクラフト作品のことだ。

 国内における養蚕農家の比率は、群馬県が60%と圧倒的に多く、宮城県はわずか4%だという。そのため、群馬県には他県と比べてデザイン力が優れたクラフト作品が多いそうだ。また、繭の原価は輸入品の方が安いことから、国内市場は縮小傾向にあるという。

 これらの課題を解決するために、販売するのが繭クラフトを制作できるキット。繭2個と説明書を送り、購入者自身に制作してもらうことで、デザイン面での競合を回避できる。また、原価もわずか13円のため、小学校の教材や老人ホームなどに数百個単位で販売すれば、高い利益を期待できるとしている。

  • 「繭クラフト」のイメージ

  • 宮城県の養蚕農家の比率は4%

  • クラフト制作キットを販売

 審査員からは、このモデルを繭クラフトに限らず、その他の商材でも展開してみてはどうかという意見が挙がっていた。

現地の高校生もアプリを開発

 なお、当日は石巻近辺の高校生が、3日間でAndroidアプリを制作するイベント「Boot Camp」も開催されており、彼らが開発したアプリも発表された。

 イベントに参加した9名の高校生はゲームや音楽、パズルなど、それぞれのアイデアで開発したアプリを披露。クオリティの高いアプリが紹介されると会場からは驚きの声が挙がっていた。

  • だるまをスワイプしてシャチホコに当てるゲーム

  • 動く回答にタッチするクイズゲーム

  • 自分で置くところから遊べるドミノ倒しゲーム

全チームのプレゼンが終了。優勝チームは・・・

 すべてのチームのプレゼンが終わり、審査結果が発表された。優勝はチームH&Yが提案した新たなメディアビジネスとなった。審査員の倉重氏によれば、繭クラフトのキット販売サービス「Mayukari」が僅差で2位だったという。

  • 優勝したチームH&Y。増田拓史氏(右)が喜びを語る

 「2つともアイデアとして面白いし、現実味もあるしビジョンが非常に優れているということで評価されていた。最終的に決定打となったのが、Mayukariは商品自体の魅力にかなり依存するが、そこに対するアイデアが薄かったこと。H&Yもいろいろな障壁があると思うが、まずもってビジョンが素晴らしい。また、すでにhiroさん(増田氏)がいることで、実行する現実味を感じられたことが、最後の議論の分かれ目だった」(倉重氏)

 優勝という結果についてチームH&Yの増田氏は、「自分で動けば何かを成し遂げられるということを、この3日間で体験できた。今回提言させていただいたことを、今日から具現化に向けて一歩一歩着実に進めていきたい」とコメント。3日間にわたる石巻Hackathonは幕を閉じた。

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