iOSデバイスでは、アプリをダウンロードできるのは「iTunes App Store」からのみであるため、Appleはライブラリに受け入れられるもののセキュリティをある程度コントロールできる。しかしMacの場合、ユーザーは依然としてサードパーティーサイト(信頼できるかもしれないし、できないかもしれない)からアプリやファイルをダウンロードすることが可能なので、Gatekeeperは害を及ぼす可能性のあるソフトウェアに対する最後の砦の役割を果たす。その仕組みを示す例を紹介すると、Mac App Storeのアプリのみを許可するようにGatekeeperを設定した場合でも、サードパーティーのサイトからファイルをダウンロードすることは可能だが、その後に警告ダイアログボックスが表示され、そのプログラムを実行することはできない。この予防措置は新しいMacユーザーにとっては理にかなったものだと筆者も思うが、経験の豊富なユーザーはどこからでもダウンロード可能なオプションを設定し、ダウンロードを選択する際によく見極めようとするのではないか。つまり、Gatekeeperは概ね効果的ではあるが(悪質なプログラムの中にはMac App Storeの承認プロセスをすり抜けるものもある)、実際にどれだけの必要性があるのかは筆者には疑問だ。
Mountain Lionの新機能ではないが、「Mac OS X 10.7 Lion」で初登場した「Launchpad」は、Macでアプリを起動するオプション機能として存続している。iOSデバイスのアプリレイアウトに倣って、アプリを起動するためのカラフルなアイコンが表示される。そしてMountain Lionでは、新しいクイック検索を利用して、探しているアプリを絞り込んでいくことができる。しかし、Launchpadは本当に必要なのだろうか。筆者はアプリを探して起動するこの機能を嫌っているわけではないが、大半のMacユーザーはいまだに昔からのやり方、つまり「Finder」から直接アプリを起動する方法を使っている。Launchpadはアプリを起動する方法として悪いわけではないが、Appleは1つの方法を選んで、それを貫くべきであるように思える。
Mac OS X Mountain Lionには200以上の新機能が搭載されており、その多くは小規模なものだが、すべての機能はよく利用される現行のプロセスを容易にし、それと同時にユーザーのすべてのデバイスを横断する共有機能とクラウド機能をより多く追加するという考えに基づいている。iCloud統合および共有に大きな重点が置かれていることは、デスクトップコンピュータであるかモバイルデバイスであるかに関わらず、われわれの情報があらゆる場所で利用可能になる中で、Appleが時代の先端を行きたいと考えていることを示している。
Lionから引き継がれている機能の中には、iOSデバイスのようにアプリを起動するLaunchpadなど、首をかしげたくなるようなものもある。ただし、そうしたデザイン的な哲学を受け継いでいることが、新しいユーザー(iPhoneでしかAppleを体験したことのない人々)にとって助けになる可能性が高いことも筆者は承知している。
Mountain Lionに搭載されたさまざまな機能は、対象がどのMacデスクトップまたは「MacBook」であっても、19.99ドルという低価格に設定されたアップグレード(Lionは29.99ドルだった)を価値あるものにしている。iCloudを介した全デバイスの自動同期、新しい共有機能、そしていくつかの中核的なアプリのアップグレードは、20ドルのエントリー料が非常に手頃であるように思わせる。
問題となるのは、「Windows 8」のビジュアルおよびインターフェース面での著しい変化と比較したときに、Mountain Lionはアップグレードとして十分なのか、ということだ。Windowsは新しい機能を試してみるに足る、かつてないほど説得力のある理由を提示しているが、結局のところ多くの人は、自分が既に慣れ親しんでいるOSを使い続ける可能性が高いように思われる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」