アマゾンはスマートフォンビジネスに参入するべきではない--ベゾスCEOへの提言

Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年07月18日 07時30分

宛先:Amazon最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos様
Re: Amazonスマートフォンを開発するというあなたの計画をめぐる報道について

 スマートフォンビジネスは魅力的で、利益を生む可能性があるように思えるかもしれないが、Amazonにもたらされることになる悩みの種と混乱に見合うほどのものではない。

 事情は理解している。Amazonは、今もウォールストリートを惹きつけているその利益と、オンラインでの強い存在感、そして電子書籍リーダーの「Kindle」やタブレットの「Kindle Fire」による順調なガジェットビジネスによって、好調の波に乗っている。あなたは同時に、Amazonの書籍や音楽、映画などの製品を販売する機会として成長しつつある、モバイルの世界から追い出されたくないと思っている。無限大に思えるスマートフォンビジネスにあなたが目を向けるのは自然なことだ。Appleとサムスンは現金の山の上に座り込み、顧客に対して強固な支配力を有している。そしてあなたも同じようにしたいと考えている。

 最近、Appleの「iPhone」や多数の「Android」搭載デバイスに市場で対抗するために、Amazonがスマートフォンを計画しているという報道がある。Bezos氏、あなたにきちんと警告しておこう。そのような計画は打ち切って、コアビジネスに専念すべきだ。

 スマートフォンビジネスは競争が激化しており、現時点では、先述のAppleとサムスンという2人の勝者、そして数え切れないほどの敗者がいる。このビジネスに参入するということは、ほんのわずかしかない利益に耐え、気難しいことで歴史的に有名な携帯電話事業者にへつらい、全く新しいエコシステムを作り出して、それを受け入れるように消費者と開発者を説得することを意味する。

 古参のスマートフォンメーカーであるResearch in Motion(RIM)が2週間前に、第1四半期の損失とレイオフを報告し、軟調な業績が続いていることを通知したのは偶然ではない。HTCは米国時間7月6日に、同社の回復計画が頓挫するなかで、売上高と利益が再び減少する見込みだと発表した。スマートフォンビジネスでは、Nokiaやソニー、LG Electronicsのようなモバイルデバイスでの経験が豊富な企業が、適切性を取り戻すのに苦労する例が数多くある。

 Current Analysisでコンシューマーデバイスを担当するAvi Greengart氏は、「Amazonがどのようにして、飽和状態にある非常に競争の激しい市場に参入し、大きな違いをもたらすことができるのかはよく分からない」と述べている。

 もちろん、「iPhone」以前のAppleにはモバイルデバイスの経験はなかったが、かなりの成功を収めている。しかしAppleにはハードウェアとソフトウェア開発の長い歴史があったし、主にデジタル音楽プレーヤーの「iPod」シリーズの成功による人気ブランドとしての名声も持ち合わせていた。

 Googleがモバイルで成功した主な理由は、同社自体はスマートフォンビジネスから距離を置き、代わりに同社のOSであるAndroidを採用するパートナーを通じてエコシステムを発展させたためだ。最近買収したMotorola Mobilityによって、Googleが独自ハードウェアをどのようにしてうまく製造するつもりなのかは定かではないが、同社は水面下では既にかなりの勢いを持っている。

 Amazonブランドは、電子書籍リーダーとタブレットからなるKindleシリーズの成功と結びついているというあなたの主張はもっともだ。しかし、そのブランドはどのくらい強力なのだろうか。Kindle Fireは当初から人気だったが、批判や不満がなかったわけではない。スマートフォンに対するわれわれの見方を変えたiPhoneとは異なり、Kindle Fireの最も革新的な特徴は、200ドルという価格だ。Googleは、「Nexus 7」タブレットに同じ価格を付けることで、この強みを自ら打ち消しにかかった。同じような価格のタブレットがほかにもあるのに、Kindle Fireを買いに走る人がいるだろうか。

2011年にAmazon初のタブレットコンピュータである「Kindle Fire」を発表した、同社最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏。
2011年にAmazon初のタブレットコンピュータである「Kindle Fire」を発表した、同社最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏。
提供:Sarah Tew/CNET

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