前から噂の出ていたAmazonの電子書籍リーダー端末「Kindle」の日本市場投入が、ついに本決まりになったようだ。
一部ではよく知られている通り、Amazonは決算発表でもハードウェアの出荷台数を明らかにせず、しかも最近では話題の焦点がタブレット端末「Kindle Fire」のほうに移ってしまっていることから、興味深い数字などを目にすることもそれほどなくなった。
直近の決算(2012年1〜3月期分、4月下旬発表)などから、Amazonのハードウェアで目についた点を拾ってみたい。
まず、この分野で先んじたKindleは、少なくとも米国ではすでに押しも押されもせぬ市場リーダー。先週発表されたライバルのBarnes & Nobleの決算に関連して、「Kindleのシェアが6割以上、Nookのシェアが25〜30%程度」というアナリストの推測がFinancial Timesの記事で紹介されていたりする。
対応する書籍タイトル全体の数はすぐに見つけられなかったが、Amazonが独占で取り扱う新刊タイトルの数が13万種類を超え、「ベストセラー作品100のうち、16タイトルがこの独占オリジナル作品だった」という同社CEOのJeff Bezos氏のコメントが決算発表のプレスリリースのなかに見られる。
市場の発展・成熟度でいうと、米国ではすでに通常の書籍や雑誌の販売という段階は通り越して、Kindle Reader端末向けの公的図書館でのタイトル貸出をめぐる問題や、Kindle Storeでのスパム問題など、付帯する話題のほうに焦点が移ってきているといった印象も受ける。
また、国際展開については「Kindle Touch 3G」が4月下旬から175カ国向けに出荷され始めている。対応する言語は英、独、仏、伊、スペイン、ポルトガルの各言語(つまり、まだ横書きのものしかタイトルは出ていない、ということ)。
いっぽう、昨年末から急激に話題が盛り上がった低価格のタブレット端末「Kindle Fire」(Android OSにAmazon独自のカスタマイズを施したデバイス)は、昨年の年末商戦期(10〜12月)こそ推定数百万台が売れ、「Amazon.comの売上ナンバー1」の座にしばらく座っていたものの、今年に入ってからは売れ行きに失速感が出ているといった調査結果も出てきている。
また、Kindle Fireについても、Kindle Readerと同様、欧州を中心に国際展開の動きも進んでいるようだ。
「Kindle Fire」「Kindle Touch」、そしてその1つ前のKindle Readerを使ってきたユーザーとしての印象を書いておこう。
Kindle Fireは199ドル(1万6000円くらいだった)という値段を考えれば、決して損した気にはならないが、せめてブラウザの表示スピードやなめらかさをもうちょっとなんとかしてくれないと、日頃から使うものにはならないな、と思える。
それに対し、99ドルで買ったKindle Touchはかなり活躍の機会も多く、満足度も高い。バッテリーはうたい文句通り長持ちするし、軽くてポケットに収まるし、初期の頃に見られたページめくりの具合の悪さなども、その後のOSアップデートでずいぶんよくなった。UIの設計(メニューとか、なかなか慣れづらい部分もある)など改善の余地はたくさんあると思うが、「自分の蔵書全部をポケットに入れて持ち開ける」というのは、その昔、Steve Jobsがオリジナル「iPod」の発表の時に自慢していたことに共通する大きなベネフィットだと思う。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス