4チームのプレゼンテーション終了後、KDDI代表取締役社長の田中孝司は、∞ Labo提供の背景について「グローバルに通用したインターネットサービスを作り出していこう、というところから」とあたらめて説明した。
田中氏も若い頃にスタンフォード大学の大学院に留学しており、日夜プログラミングなどを行っていたが、現在のような開発環境はなかった。こういった思いから、起業支援には以前から興味があったのだという。
∞ Laboにはこれまで、第1期、2期ともに約100件の応募があったが、「若い人はこれほど力があるんだ、と改めて感心している」(田中氏)という。
また、早ければ来年度にも同社の携帯電話契約者の半数がスマートフォンに移行するという状況、同社が掲げる3M戦略(マルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースの強化)などを説明。∞ Laoboについても「この試みをマルチデバイスでやれれば」(田中氏)とした。また第2期のU-NOTEは現役大学生で構成されたチームだったが、今後はさらに学生の支援を強化していくともした。
田中氏はまた、HTML 5ベースのウェブOSを紹介した上で「目先の企業ではなく、テクノロジーを追いかけていく人たちを支援していきたい」とコメント。単なるアプリケーションにとどまらない、新技術への挑戦を呼びかけた。
第3期の応募期間は8月10日まで。通常枠の応募は設立3年以内、従業員10名以下の企業(プログラム参加は1チーム3名まで)であること。またプログラム期間中にベータ版をリリースできること。さらに毎週の進ちょく行程発表会に出席できることが条件となる。
今回新たに設定された学生枠については、チームの代表者が18歳以上の学生であり、プログラム期間中も在学予定であることに加えて、進ちょく行程発表会および、KDDI社員からのアドバイスの場に参加できることが条件だ。
なお第3期からは、KDDIの移転にともない、∞ Laboが渋谷ヒカリエに移転する。これまでの約2倍のスペースで作業やプレゼンテーションを行うことになるという。
イベントでの登壇時、そしてその後開かれた会見で田中氏は、「まったく商売抜きで(プログラムを)やりたい」と強調した。前述のシンクランチやgifteeへの出資についても、キャピタルゲインをそれほど重視していないという。
「荒削りでももっともっと人が出てきて欲しい。あまりビジネスビジネスしてもよくないのではないか。ウェブOSの話をしたのも、ビジネスを早く立ち上げないといけないとなると、ビジネスモデル中心に(サービスが)できてしまう。それはあまり面白くないと思っている」(田中氏)
また、他社でもインキュベーションプログラムはさまざまなものが提供されているが、田中氏は「信じないと思うが、あまり他社がどうのこうのというのはこのプログラムに関しては意識していない。(参加メンバーの企業が)大きくなった時は、『当社が支援した』と言いたいくらい。本音のところはそういうもの」と語った。
第3期より∞ Laboのラボ長を務める増田和彦氏は、学生枠を用意したことについて「学生はデジタルネイティブでどんどん新しいものを生み出している。U-NOTEでそれを強く感じた。KDDIは大きな会社なので、活動を通して初めて分かることもある。広く学生に新しいチャレンジをしてもらいたい」と語った。
なお今回、プログラム参加チームへの出資などは発表されていないが、「詳細なプランを含めて、各チームと必要に応じて話をしていく」(増田氏)という。
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