サンフランシスコ発--「Android」のパートナーエンジニアリング担当ディレクターのPatrick Brady氏には6月、祝うべき大きなスタートが2つあった。1つは4週間前に娘が誕生したことだ。そしてもう1つは、同氏のもう1人の子供と言うべき、「Google Nexus 7」タブレットの発表である。
Googleは、当地で先週開催されたGoogle I/O開発者カンファレンスで、同社初となるGoogleブランドタブレット(ASUS製)を発表した。Nexus 7と呼ばれるこの新しい7インチタブレットは、Android OSの最新バージョンである「Android 4.1」(「Jelly Bean」)を搭載している。Nexus 7には、HDスクリーン、前面カメラ、クアッドコアプロセッサなどいくつかの印象的な機能が搭載されている。そしてこのタブレットは、199ドルという競争力のある価格で提供される。
Brady氏はNexus 7の開発チームを率いる立場にあった。米CNETはGoogle I/OでBrady氏にインタビューし、Nexus 7がどのようにして生まれたのか、そしてこうしたNexusブランドデバイスの開発に関するGoogleの戦略はどのようなものなのかという点について、詳しく話を聞いた。以下はインタビューの内容を抜粋し、編集したものだ。
--Googleブランドタブレットの開発をGoogleが決断したのはなぜでしょうか。
Brady氏:われわれはエコシステムを注視して、次に急速に拡大しそうな製品カテゴリが何かを見極めようとしました。そしてタブレット、特に小型の低価格タブレットに注目しました。このタブレットのカテゴリは、その潜在力に見合うだけの成果を上げていないと思ったのです。
われわれが開発したかったのは、価格の安い製品、しかし安っぽくはないものです。それには、われわれの開発者がそのタブレットを使う際にほしがるような、高速のプロセッサと、高解像度のスクリーンを搭載する必要がありました。またGoogleのデジタルコンテンツを紹介できるデバイスを開発することを目指していました。われわれは最大の電子書籍ストアを構築していますし、「Google Play」で映画も扱っています。テレビ番組や雑誌も追加しています。そこでわれわれは、こうしたものすべてに対応する完璧なデバイスがぜひとも必要だと考えました。それには7インチタブレットが良いサイズだと思いました。
軽量で持ち運びやすい製品にすることも、われわれにとっては重要でした。Nexus 7はたったの340gです。人々がそれをコーヒーショップに持って行って、快適に本や雑誌を読めるようであってほしいと考えました。Nexus 7のサイズと重さは、ペーパーバックの書籍とほぼ同じです。そしてペーパーバッグがそのサイズと重さであるのは、持ち運びやすさを考えて作られているからです。大きなハードカバーの書籍を苦労して持ち歩きたくはないでしょう。
--この製品を完成させるまでにどのくらいかかりましたか。
Brady氏:実際に開発に取りかかったのは2012年1月です。
--あっという間に完成したのですね。それほどの短期間で完成させたというのは驚きです。
Brady氏:この業界は非常に動きが速いので、われわれにも迅速さが必要です。ハードウェアの開発に1年もかけてはいられません。製品が完成したときには、ハードウェアは1年前のものになってしまっているからです。われわれにはそれほど悠長なことをしている余裕はありません。
--Nexus 7はどのような顧客層をターゲットとしていますか。
Brady氏:すべての人だと思います。どのようにしたら数多くのユースケースに合うようにソフトウェアとハードウェアを設計できるかについて、われわれはいろいろと考えました。例えばゲームや読書には、10インチタブレットでは大きすぎます。持ち運びやすいタブレットにしたかったのです。そして、本や雑誌を読むのと同時に、ゲームをしたり、映画を見たりするのにも適したタブレットにしたいと考えていました。
しかし、ほかの作業をするにも十分なくらい強力なタブレットにすることも重要だと考えました。クアッドコアプロセッサを採用し、「Google Chrome」を搭載したのはそのためです。Nexusデバイスは、開発者がGoogleのプラットフォームやエコシステムで革新的なことを行うために使える、まさに基準となるデバイスです。そのためわれわれには最先端のデバイスを構築する必要があります。利用できる最高のハードウェアで、Googleのコンテンツやサービスを試したいと考えています。
このデバイスを軽量で、持ち運びやすいものにすることも重要でした。また早い段階から、199ドルという価格にしたいと考えていました。
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