そして、Amazonが申請しているすべての名称は、そのグループに分類される。Amazonの申請書を詳しく見ると、それが.youであれ、.bookであれ、.shopであれ、.newsであれ、同じような文言が記されていることに気付くだろう。例を挙げると、「.YOUレジストリのすべてのドメインはAmazonが所有権を持つこととなる」だけでなく、「Amazonとその子会社が唯一の有資格登録者となる」というのもある。
企業のドメイン戦略をサポートするFairWindsPartnersでマネージングパートナーを務めるPhilip Lodico氏は要約して、「Amazonと何らかのビジネス上のつながりがなければ、Paul.youを登録することはできないようだ」と述べた。
そうなると、Amazonは申請が認められた場合、そのgTLDを使って具体的に何をするつもりなのか、という疑問が再び浮上する。この変化を推進している要因の1つは、ICANNがドメイン市場で競争を作り出すことを求められており、すべてのドメイン拡張子の王者である.comには1億件以上の名称が登録され、ほぼ枯渇状態にあるということだ。
言うまでもなく、.shopという名称は多くの人にとって魅力がある。そのために、Googleを含む9人の申請者が.shopを狙っている。Amazonが.shopの申請書で述べているように、同社のすべての計画の中心にあるのはAmazonのビジネスであり、.shop上のインターネット不動産の一画を手に入れたいと思っている、Amazonと無関係のチョコレートショップではない。
Amazonは、「われわれは当初、.SHOPレジストリ内の比較的少数のドメインを、Amazonのビジネス目標を支援するために供給するつもりだ」と書いている。同社は.bookを含むほかのすべての文字列についても、同様の文言を用いている。
しかし、あなたがこれらのgTLDを含む名称を自由に登録することをAmazonが認めないからといって、同社が何か大きなことを計画していないというわけではない。新しいgTLDについての関心の多くが、消費者に混乱をもたらす可能性に向けられているが(そして一定の混乱は必ず発生するだろう)、それは、これらの契約を勝ち取った企業が、ほかのレジストリと同じ方法で新しいgTLDを使うつもりである、という仮定に基づいている。つまり、.info、.us、.biz、または最新の文字列で急速に成長している.coといった従来のレジストリと同じように、.comに代わる自分たちの文字列を宣伝するために必死でマーケティングを行い、Go Daddyのような巨大なレジストラと提携しようとする、という仮定だ。
Amazonの申請書からは、それが事実とは大きく異なるということを見て取れる。少なくとも、Amazonがほしがっている文字列に関してはそう言える。Lodico氏は、「人々は、ICANNがこの市場を開放しようとしていると言う。それは不動産をめぐる争いだ。しかし、一般に向けて名称を販売することが、投資から利益を得る唯一の方法ではない」と話す。
例えば、Amazonは.newsや.shop、.bookを中心としてその周辺に目的地を定め、それをわれわれが今は予測できないような方法で拡大していくかもしれない。おそらく、同社は出版ビジネスを拡大していくにつれて、.bookや.authorにAmazon作家のコミュニティーを作るだろう。ひょっとしたらそれは、Amazonの顧客の間で最も話題になっている書籍を特集する場所になるかもしれない。そんな具合だ。
提案されたgTLDのうち358件の申請手続きを管理した実績を持ち、複数のドメインレジストリ向けのテクノロジを運用するNeustarでバイスプレジデントを務めるAlex Berry氏は、「Amazonは膨大な数の顧客で構成される巨大なネットワークを有しているため、たとえそれが閉じられた状態を維持したとしても、間違いなく素晴らしいコミュニティーを作ることができるだろう。ブランドは、かつて存在しなかった、同じ興味を共有するコミュニティーを作り出すことができる」と話す。
いくつかの一般名称を完全に管理する権利をAmazonに与えることは、少なくともほかの大企業にとって、有益な点もあるかもしれない。何百件もの新しいgTLDが完全に開放されることになれば、サイバースクワッティングが新たに引き起こされることは間違いないだろう。サイバースクワッティングとは、金儲けの機会をうかがうドメイン投機家が、例えばFacebookのスペル間違いやAppleの製品名を少し変えた名称を新しいgTLDに登録して、トラフィックから金銭を得ようとしたり、FacebookやAppleがそれらの名称をめぐって争う代わりに、自分に小切手を切ってくれることを期待したりすることだ。
企業は自社のブランドを守るためだけに、多数の新gTLDを含む名称の登録を余儀なくされるのではないか、と既に懸念を抱いている。これは、Amazonappliances.comとwwwAmazon.comの管理権をめぐってサイバースクワッターと争った経験のあるAmazonにはなじみ深い問題だ。
結局のところ、たとえAmazonがごく一部の名称しか勝ち取ることができなかったとしても、未来のAmazon.com、あるいは未来の.Amazonは、今とは非常に異なる場所に変わる可能性が高い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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