Dykes氏によると、アクションヒーローになるために必要なものは大きく3つある。それは、能力、環境、正しいアプローチだ。
能力は、個人の資質やスキルのことで、ビジネス的洞察力、人間的スキル、解析スキル、デジタル知識の4つに分けることができる。
「ヒーローの資質というと生まれつきのように感じるかもしれないが、ほとんどは後天的な学習によって取得できるものだ。能力開発のチェックリストを作り、企業内で活用することができる」(Dykes氏)
例えば、解析スキルとしては、「知見」「興味」「詳細指向」「オープンマインド」「目的志向」「問題解決スキル」「ツール活用」などがある。同様にデジタル知識としては、「デジタルマーケティング」「オンラインビジネスモデル」「Webデザイン」「オンライン技術」「オンライントレンド」などだという。さらに、ヒーローが持つ条件としては、「情熱的」「率先的」「自信」「執拗」「機知・創造性」などを挙げた。
2つめの環境については、Dykes氏の友人の実例を使って紹介した。これは、「ヒーローの能力(スキル)があり、正しいアプローチを行なったとしても、環境が整わなければ成功できない」ということだ。
同氏の友人ピーターは、その能力を買われて、CMOが率いる“ドリームチーム”(特別プロジェクト)に選抜された。だが、3カ月後、CMOはCEOとソリが合わずに突然退職してしまう。ピーターは社内にとどまったものの、彼が持っていた能力が発揮されることはなかった。そして、ドリームチームへの選抜から6カ月後、ピーター自身も退職した。
「ビジネスに変革をもたらすためには、上層部の支援が不可欠ということだ。また、ビジネス戦略が明確であり、そのことをスタッフが知ってる必要がある。組織のなかでどのユーザーからどのようなデータを取得し、分析の結果をどう知らせるか。データを扱うスタッフ、適切なツール、組織でのアカウンタビリティ、そして危機感も必要になる。そうした環境がなければヒーローはけっして成功しない」(Dykes氏)
3つめの正しいアプローチについては、ディズニーランドを例に紹介した。
「長時間かけてようやくディズニーランドまで到着した。シャトルバスを降りてセキュリティゲートを抜けて入り口まで来た。子供たちのワクワクは頂点に達している。だが、ここで中に入らずに家に帰るとする。さらに翌日も入り口まで来て家に帰る。これを何日も繰り返していたら、子供たちはどうなるだろうか(笑)」(Dykes氏)
同氏によると、Webアナリティクスにおいては、こうした「入り口まで来て帰る」行為がしばしば繰り返されているという。
「ディズニーランドの入り口から中をアクションランドとすれば、入り口までは、セットアップランドと言うことができる。正しいアプローチとは、セットアップランドからアクションランドに入る最後の1歩を間違えずに踏み出すことだ」(Dykes氏)
具体的には、配置、測定、レポートという3つのステップで進めることになるという。Rawデータを情報に変えること、スコアカードをつけること、カスタムリポートを作成すること、ダッシュボードとして表示することなどだ。
講演では、これら3つの条件以外にも、アクションヒーローのフレームワークの使い方や、具体的な戦略の立て方、キャンペーン実行のプロセスなどをわかりやすい喩えや図で解説した。
なお、同氏によると、社内にはヒーローの敵対勢力が必ず存在するという。それは、データの使い方が分からないということもあれば、単に人間として気に入らないからということもある。敵対勢力と闘う際には、「まず相手を知り、分かりやすく情報を伝え、さらに人間環境を作ることが必要で、データの分析だけでなく、それらを相手に訴えるストーリーとして伝えることが重要だ」とアドバイス。
最後に、データの分析結果をもとにアクションを起こすうえで、アドビのソリューションが適していることを強調して講演を締めくくった。
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