アドビ システムズは6月7日、自社主催イベント「Adobe Innovation Forum 2012」を都内で開催し、デジタルマーケティングとデジタルメディアの2領域における同社とパートナー、ユーザーの取り組みを紹介した。
本稿では、アドビシステムズ代表取締役社長のCraig Tegel(クレイグ・ティーゲル)氏によるオープニング講演、そして米Adobe SystemsのBrad Rencher(ブラッド・レンチャー)氏による基調講演の模様を紹介する。
Tegel氏はまず、アドビがフォーカスするビジネス分野として、デジタルマーティングとデジタルメディアにおけるソリューションを説明。デジタルメディアにおいては、4月に新バージョンをリリースした「Creative Suite」や、サブスクリプションサービスの「Creative Cloud」といった新しい取り組みを進めていることを紹介した。
また、デジタルマーケティングにおいては「Digital Marketing Suite」として、Web解析とレポーティングツールの「SiteCatalyst」やソーシャルメディア向けマーケティングツール「Adobe Social」などの製品で市場のリーダーシップを確立していることを説明。そのうえで、今後はさらにデジタルマーケティングに注力していくことを強調した。
「スマートフォンやタブレット、スマートテレビ、ソーシャルネットワークなどの普及で、コンシューマーとデバイスの関係が劇的に変わった。顧客がどのようにして商品を購入するかを見たとき、今まで以上にデジタル体験が重要になってきている。顧客は、自分にとって関連性の高いパーソナライズ化されたデジタル体験を、どんなデバイスでも、どんなチャネルでも見たいと願っている」(Tegel氏)
そこで重要になるのが「データ駆動型マーケティング」だという。これは、適切なデータを収集し、魅力的なデジタル体験を適切な人とデバイスに適切なタイミングで提供することだ。
「アドビはそうした企業が(データ駆動型の)デジタルマーケティングを行うことを支援していく。デジタルマーケティングを最適化するスタンダードになりたいと願っている。アドビは日本市場に参入して20周年を迎えたが、次の20年もまた信頼を得られるよう努めていきたい」(Tegel氏)
続いて、デジタルマーケティング担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーのBrad Rencher氏が登壇し、「デジタルセルフのパワー」と題する基調講演を行なった。デジタルセルフとは、ソーシャルメディアなどで共有される自分のついての情報のことだ。
「ユーザーが検索すればするほど、情報を共有すればするほど、情報はシステムの中に残されていく。その情報は個人の関心が何であるかを表しており、デジタルマーケターはその情報に基づいて、顧客にとってよりよいデジタル体験を提供していくことになる」(Rencher氏)
Rencher氏はみずからのソーシャルグラフを例にとりながら、FacebookやLinkedIn、Yelp、Spotifyなどを利用する場合に、ユーザーは情報がパーソナライズ化されていることを求めるようになったという。
「パーソナライズ化は15年前からあった。今は当時と何が違うのかというと、顧客からより豊かなデジタル体験を求めるようになったということ。そして、提供者側もインフラ、テクノロジ、ノウハウ、ビジョンを持っており、過去実現できなかったことが実現できるようになった」
このことを示す端的な例として、Rencher氏は、3歳の甥の行動を挙げた。
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