自社製タブレット「Surface」を発表したMS--その狙いと影響

Dan Farber (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年06月21日 07時30分

 20世紀にSteve Jobs氏が「Macintosh」の外観の斜角に頭を悩ませているころ、Bill Gates氏は体を前後に揺すりながら、「Windows」で世界制覇を達成する方法を考え出した。Gates氏は企業に配慮し、PCメーカーと提携するという手法を採用して、Appleを脇に押しやり、楽々と勝利を収めた。現在でも、デスクトップ市場におけるAppleのシェアが6%なのに対し、Microsoftは90%以上を誇っている。

 しかし、モバイルの世界では、両社の立場は逆転する。Microsoftはモバイル分野において存在感をほとんど発揮できていないが、一方で、AppleとGoogleはこの急成長する市場を独占しようとしている。comScoreによると、モバイルインターネットユーザーの数は2014年以降、デスクトップインターネットユーザーを上回る見通しだという。

10.6インチのディスプレイを搭載するMicrosoftの「Surface」。
10.6インチのディスプレイを搭載するMicrosoftの「Surface」。

 この意味を理解したMicrosoftは、製品を統合制御するAppleの戦略と、Microsoft自身がこの10年間に「Xbox」で採用してきたApple的なアプローチに倣って、「Surface」シリーズのモバイルデバイスを発表した。Appleの垂直統合方式を模倣したMicrosoftのXboxは、Microsoftによると、2005年以降6700万台を売り上げており、現在米国のゲーム機市場で50%近くのシェアを獲得しているという。

 Microsoftはこれまで、Windowsを搭載したPCやノートPC、タブレット、携帯電話を製造するメーカーの領分を侵害することを望んでいなかった。この不干渉主義のやり方は変わろうとしているのかもしれない。何年にもわたってAppleを羨望のまなざしで見てきたMicrosoftはついに、Apple、そして「Android」や次期OS「Windows 8」を搭載する無数のデバイスの競合となりそうなデバイス(およびプラットフォーム)を発表するに至った。

 Windowsベースのコンピュータを製造するDellやLenovoなどのハードウェアメーカーは、自社ブランドで独自のハードウェアを製造するというMicrosoftの決定を快く思っていない可能性がある。Microsoftはそれらのメーカーにえさを投げ与え、彼らに設計や仕様を教えて、そのようなメーカーの製品より値下げして売ることはしないと約束するのかもしれない。われわれはそうしたハードウェアメーカーの数社に問い合わせており、思いを語ってくれるのを待っている。

 成長と革新という観点から言えば、タブレットやウルトラポータブルといった形状は特に多くのものを見込める分野である。米オンライン出版協会が先般実施した調査によると、米国のインターネット人口のうちタブレットを所有しているのは31%(7410万人)で、2011年から12%増加したという。2013年までには、米国インターネット人口の47%(1億1740万人)がタブレットを所有するようになる、と同調査は予測している。

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提供:OPA

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