カリフォルニア州パサデナにある、アートセンター・カレッジ・オブ・デザインのウィリアムソンギャラリーの所長であるStephen Nowlin氏は最近、ロサンゼルスのNBC4 Newsで、「素晴らしい芸術には、われわれの物の見方を変える力がある」と語った。「われわれは、地球が宇宙の中心ではないことを400年前から知っているが、いまだに『地球中心説』的な考え方に戻ってしまいがちだ」(Nowlin氏)
アートセンターの近くにあり、米航空宇宙局(NASA)とカリフォルニア工科大学の関連機関であるジェット推進研究所(JPL)とともに、ウィリアムソンギャラリーが主催した写真展は、われわれ人間をそうした地球中心説的な考え方から抜け出させ、宇宙の美しさで驚かせる。
写真展「The History of Space Photography」(宇宙写真の歴史)では、ゲストキュレーターのJay Belloli氏とJPLのコンサルタントが選んだ150枚の写真を中心に展示している。そのほとんどは過去50年ほどの写真だが、中には遠く19世紀までさかのぼるものもある。
この写真展は、アートセンターでの初展示を5月上旬に終えたが、2012年11月にはインドの科学博物館での巡回展示が始まる予定だ。また2013年には、ニューヨーク州のジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館でも開催される(宇宙ファンは、今から旅行の手配を始めた方がいい)。
この写真展では、写真をいくつかのカテゴリーに分けている。例えば、宇宙から見た地球の写真、太陽系やその中の惑星、恒星の写真、深宇宙の写真といった具合だ。これらの写真は、知られている中で最古の望遠鏡写真(1839年に撮影された未加工の写真)から、NASAの太陽観測衛星であるSolar Dynamics Observatoryがわずか1年半前に撮影した驚くほど美しい太陽のカラー写真まで、多岐にわたる。中には、地球の表面の変化を追った写真もある。
JPLのRandii Wessen氏はNBC4へのコメントで、JPLやほかの宇宙研究機関が撮影した研究用画像について、「われわれは知識の境界線を押し広げようと懸命に努力しているが、そうすることは、宇宙に内在する美しさを示す方法でもある」と語っている。
Spitzer宇宙望遠鏡が撮影したらせん星雲の写真を見ると、宇宙の(そして宇宙的時間の)偉大さと広大さに思わず驚きの声を上げてしまう。また、NASAのTerra地球観測衛星が撮影したミシシッピ川デルタの画像や、アイスランドの氷河が溶けていく様子を写した画像を見ると、われわれがふるさとと呼ぶこの小さな惑星の相対的なはかなさを考えずにいられない。
この画像は、Spitzer宇宙望遠鏡が2007年2月12日に撮影したらせん星雲だ。
提供:JPL/Williamson Gallery