TEDは来年のカンファレンスに登壇するスピーカーを国際オーディションで選出するという初の試みのため、世界14都市で「TED Global Talent Search」を開催。その会場の一つである東京を舞台にした「TED@Tokyo グローバル・オーディション」が、5月29日に六本木アカデミーヒルズで開催された。
TEDは、テクノロジー・エンターテインメント・デザインをキーワードに、“Ideas Worth sprading”(世の中に広める価値のあるアイデア)を求めて活動する非営利団体として、25年前から活動を続けている。年に1度、米カリフォルニアで開催されるカンファレンスは、厳選されたスピーカーが世に広めるに値するアイデアをプレゼンテーション形式で発表するというスタイルで行われ、その模様を収めたビデオは「TED Talks」で公開され、世界中の多くの人達に影響を与えている。
日本ではTEDスタイルのイベント「TEDxTokyo」が2009年から毎年開催されているが、NHKが4月から、TEDで注目を集めたスピーカーを紹介する番組「スーパープレゼンテーション」を開始したことから、急速に関心が高まっているところだ。
国際オーディションはカタールの首都ドーハでの応募を皮切りに、この2月から6月にかけて行なわれる。第一次審査は、来年2013年のカンファレンスのテーマである“The Young. The Wise. The Undiscovered,”(若き者、賢き者、未知なる者)についてまとめた1分間のビデオ審査から始まるが、TEDに登壇するまたとないチャンスということで、東京だけでも130を超える応募が寄せられた。
その結果、東京オーディションでは審査を通過した23名(組)が、TEDの創設者でありオーディションのキュレーターを務めるクリス・アンダーセン氏と、コンテンツディレクターを担当するケリー・ストッゼル氏、そしてTEDを支援する数百名の招待者が集まる会場で、最終選考のためのスピーチを次々と披露。1人に付き約3分の持ち時間でそれぞれのアイデアを発表した。
投資家・エコノミストであるジェスパー・コール氏は経済の未来について、藤原志帆子氏は社会における性の問題を、ホワイ・チェン・チャン氏は弾道弾ミサイルを使った僻地へ物資を供給するというユニークなアイデアを発表。建築家のエドワード・鈴木氏は模型を使った原子や電子の世界を紹介し、フリーダイバーの二木あい氏はフリーダイビングの世界を通じて水の大切さについてなど、とにかく話題が幅広く、さながら本場のTED会場のような雰囲気であった。
全てのスピーチは英語で行なわれたが、中にはヨーヨーパフォーマンスやギター演奏を組み合わせた発表もあり、中でもハンドサイン・ダンス・クルーによる手話とダンスと音楽を組み合わせたパフォーマンスでは、会場がスタンディングオベーション状態になる一幕もあった。他にも、時間軸も含む拡張現実(SR)を紹介する藤井直敬氏や、シャボン玉をディスプレイにする新しいユーザーインターフェイスのアイデアを紹介する落合陽一氏ら、最新の技術紹介もあれば、ソーネス・スティーブンス氏は日本人にとっては身近な炊飯器をテーマにするなど、日本独自と言えるものもあり、多いに会場を沸かせていた。また、会場ではサプライズとして、スピーカーと同じ舞台に立って30秒間スピーチする機会が設けられ、TEDならではのライブ感があふれていた。
オーディションのスピーチの模様については、全てビデオに収録され、後日、TEDのウェブサイト上で公開されることになっている。それを見た視聴者による投票を行い、それらを参考に来年2013年の登壇者が選出される予定だ。国際オーディションからは、カンファレンスのプログラム全体の半数を占める約50名の選出が予定されており、東京会場からスピーカーが選出される可能性も大いにある。
また、今回の東京オーディションに登壇したスピーカーは、6月30日に渋谷ヒカリエ会場で開催される「TEDxTokyo 2012」への参加も予定されている。こちらのイベントはすでに会場参加は締め切られているが、当日行なわれるライブストリーミングならびに、会場近くに設置されるパブリックビューイング会場にて、その模様を見られる。
「TED@Tokyo グローバル・オーディション」の結果発表や「TEDxTokyo 2012」については、いずれも運営を行っているTEDxTokyoのウェブサイトを参照にしてほしい。
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