ディー・エヌ・エー(DeNA)は5月9日、2012年第3四半期決算(1~3月)を発表 した。2011年度の第1四半期から第3四半期までは横ばいかやや下降気味となっていたが、この第4四半期においてはにおいては売上高、営業利益などにおいて過去最高の数字を残した。
この決算説明会で注目を集めたのが、やはり「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」に関する件。前日にはグリーの決算説明会が行われたこともあり、DeNAの動向も注目された。
このような背景もあってか、守安功社長は業績説明の前にコンプガチャの報道に対して、「コンプガチャについては現行法(景品表示法)に違反する考えは持ってない」としながらも、5月8日に行われた松原仁消費者担当大臣の記者会見について触れ「すでに社会的な問題が提起されている状況」とし、コンプガチャについては順次廃止していく考えを示した。
内製(自社)タイトルについてはすでに改修を進めている段階ではあるが、コンプガチャにおける線引きについては、消費者庁との協議のなかで明らかになった考え方に基づき、自社のガイドラインを整備するとともに、プラットフォーム、さらには6社連絡協議会を通じて業界としてのガイドラインを定めて、自社はもとよりサードパーティにも求めていくとした。なお、この決算説明会では具体的なスケジュールについて明言されなかったが、その後、ソーシャルゲームのプラットフォームを持つ6社で構成された6社連絡協議会より、5月には廃止することが発表された。
業績に与える影響に関しては、現時点で正確に見積もることが困難として、わかり次第開示するとし、業績予想も今回は説明が無かった。なお今後の戦略のなかで、現在Mobageでは大きく分けて「育成&収集型」「リアルタイムチームバトル型」「ロワイヤル型」「カードバトル型」のゲームジャンルがあり、そのうちカードバトル型以外はガチャの要素自体が入っていない、あるいは限定的でコンプガチャの件には左右されずに展開できるとした。またカードバトル型は「ソーシャルレイドボスなど、ほかのジャンルで成功している要素をカードバトル型に持ち込み、コンプガチャに頼らずに成長していける進化形を模索して作っていきたい」とした。そして短期的には影響はあるかもしれないが、中長期的には多様なジャンルを生み出していけると自信を見せた。
その後の質疑応答にもコンプガチャに関する質問があった。その部分を以下に抜粋する。
守安氏:業績予想が開示しずらい背景として、何がコンプガチャに相当するのかというのもあるのですが、仮にゲームに占めるコンプガチャが用いられている割合がわかったとして、コンプリートをしたいから回し続ける方がどれくらいいるのかが、各タイトルやイベントによっても違いますし、ユーザーのマインドによっても違うと思うんです。これは1件試してそれがほかのものに適用されるわけではないので、非常に読みづらいんです。なのでマーケットに与える影響もあって、他社さんを含めて明確に数字を出せない状況だと思います。
ひとつ考えを示すとなると、自社タイトルではあまりコンプガチャを入れてないんです。売り上げがある程度の規模のものでいえば、第3四半期で「ガンダムカードコレクション」に導入して以来と思っていて、わりと最近なんです。仮にコンプガチャをなくしたとして、第1四半期や第2四半期の(業績の)水準を下回りにくいだろうというという考えは持ってます。仮にここを下回るぐらいだと、私としては想定外のことになりますので、ここまでに収めたいし収まるだろうと思っています。
守安氏:タイトルによってもコンプガチャの依存度が違うため、ここで「影響がこのぐらいですよ」と言ってしまうと、上場されている企業も多いことから、ここで発言するのは適切ではないと考えます。全体で見たときに仮に大きかったとしても、第1四半期から大きく減るということはないんじゃないかなと思います。
守安氏:影響がかなり大きいこともあって、事前にお知らせしたり協議することはしていません。今後しっかりと説明を行って、タイミングやガイドラインを決めていきたいと思います。
守安氏:会見のコメントを見ても、現状の条文に照らし合わせて、触れる可能性はあるとしていますが、違法性は言及していないです。条文が出来た時代背景もかなり違っているので、そこに照らし合わせてどう判断するかということだと思います。私たちとしては、現状の条文を見て当てはまるとは思っていませんが、今後の話合いのなかで、現行法をどう変えていくのかを話し合っていくのかなと思っています。
守安氏:丸々出てくるのは次の第2四半期なのかなと思います。それまでにしっかり対策を打てれば、第3四半期から上昇に転じられるかと思います。
守安氏:この第1四半期に関しては強いタイトルが用意されていることもあって、直前四半期に比べるとと増やしています。もうすでに発注しているものもあるので、それを減らすことは難しいです。第2四半期に関しては、まさに今計画を見直しているので、確定していない状態です。
守安氏:この連絡協議会に限らずですけど、ソーシャルゲームが拡大しているなかでマーケットを引っ張ってきたのは、当社とグリーさんだと思います。ただいろいろなこと、そして訴訟の件もあって協調的なところがこれまで全く取れていませんでした。そのことは大きな反省かなと思います。競争するべき所は競争しないといけませんが、マーケット産業を作っていく上では、協調するとことはきっちり協調する必要があったかなと思っています。タイミングは本来もうちょっと早くすべきだったと反省していますが、それを踏まえて協調できるところはきっちり協調していく方向ではあります。
守安氏:青少年保護とRMT、コンプガチャに限らずガチャの表示まわりなどですね。今回の件で、コンプガチャを含めたガチャのあり方については、頻度を上げてきっちりやっていかないといけないと思ってます。開催頻度もより密にやって、早いタイミングでガイドラインは作っていきたいと思います。
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