コンプガチャ問題だけが悪材料ではないが--SNS関連銘柄が大幅下落

 ゴールデンウィークが明けた5月7日の東京株式市場ではグリー、ディー・エヌ・エー(DeNA)のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)2社がそろって値幅制限いっぱいまで売られるストップ安となった。グリーは500円安1651円と1日で23.25%下落して4月5日に付けていた年初来の安値を更新。DeNAも500円安の1990円と20.08%安となった。このほかにもソーシャルゲーム関連株が全面的に売られており、サイバーエージェントやドリコム、KLabといった有力ソーシャルゲーム開発企業が上場する新興市場の東証マザーズ市場は記録的な下落幅で、異様な風景となった。

 連休中、一部報道で消費者庁が有料くじ「ガチャ」で特定のカードをそろえるとよりレアなアイテムが当たる「コンプガチャ」の商法について景品表示法で禁じられた懸賞に相当するという見解を近く発表すると伝わった。未成年などの過度なゲームの利用が社会問題となっており、4月にはグリーとDeNAを含むプラットプラットフォーム運営6社で構成する協議会が第1回会合を開催。批判をかわす意味もあってか、18歳未満のユーザーの利用限度額を月1万円以下とすることで合意していた。

 ソーシャルゲーム関連企業の高収益を支えている主力ゲームスタイルが変更を余儀なくされるとの懸念から関連株に売りが広がった。ただ、グリー、DeNA、ドリコム、サイバーエージェントなど値幅制限いっぱいまで売られた直接的な関連銘柄はともかく、5月7日は家庭用ゲームソフトが主力のコナミ、カプコン、バンダイナムコホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングスなども大幅安。これら企業は家庭用ゲームソフト市場の縮小などを背景にコンテンツ資産を活用したソーシャルゲーム開発にも力を入れ始めているため、一応は関連銘柄の一角だが、直接的にコンプガチャ方式を採用していない企業もあり、株価を大幅安させるほどの影響が出るとは考えづらい状況だ。

 5月7日の東京株式市場は連休中に発表された米国の雇用統計が予想を下回ったことや仏大統領選における現職サルコジ氏敗戦による欧米景気への先行き不安など悪材料がてんこ盛り。為替市場では対ドルで円高が進んでおり、輸出株が中心の日経平均株価は2日終値比200円を超える大幅安となっていた。

 コナミやバンダイナムコホールディングスはコンプガチャ問題浮上という悪材料はあったものの、東京株式市場全般の大幅安による投資家心理の悪化が株価下落の一因となっているとみられる。値幅制限いっぱいまで売られたグリー、DeNA、サイバーエージェントについても、為替など外部要因の影響は受けないビジネスモデルながら投資行動が市場全体の動向に影響を受けやすい個人投資家が売買のメーンとなっている銘柄で、2011年は外国人投資家の参戦で大幅高していた。7日は個人投資家の逃避とともに、市場では外国人投資家による大量売り観測も流れていた。

 株式アナリストの見方はまちまち。欧州系のクレディ・スイス証券では今回の報道について、ソーシャルゲーム提供各社にネガティブに作用することはもちろん、影響は営業利益で40~50%に達する可能性もあるとコメント。また、違法性が認められた場合は返還請求リスクなども出てくるとしている。一方、国内系のSMBC日興証券では、消費者庁の判断は想定の範囲内でサプライズはないが、メディアの取り扱いの大きさがネガティブに働いたとコメント。仮にコンプガチャがなくなってもソーシャルゲーム自体のゲーム性に与える影響は限定的だろうと指摘している。

 現時点で消費者庁からの正式な開示はないものの、規制を前提とした報道に対しては否定するコメントをしている。今後の業績に与える影響もまだ不透明だが、7日の動きからすれば、関連銘柄が必要以上に売られる状況が落ち着くことも考えられる。東京市場全般の先行きにも不安感は強いが、全般の動きが落ち着けばソーシャルゲーム関連株は値動きの派手さも特徴だけに、目先的に反動高を狙う投資行動も表面化しそうだ。

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