Gartnerは2012年になって、同年の世界のPC販売台数が約4億台になる一方、スマートフォンの販売台数は6億台を突破すると予測している。また、タブレットの販売台数は約1億台になるとも予測している。つまり、2012年に新たに販売されるウェブ接続デバイスに占めるWindows搭載PCの比率は約35%に過ぎないというわけだ。テクノロジの世界はたったの5年間で大きく様変わりしたのである。
ここで注意してもらいたいのは、Gartnerの予測している数字が、2012年に新たに販売されるデバイスに限ったものであるという点である。当然のことながら、今まで使用してきたマシンを使い続ける人も数多くいるため、2012年におけるウェブ接続デバイスに占めるWindows PCの比率はまだ50%以上となるはずである。
しかしながら、この数値は今後数年で、さらに劇的なものとなるはずだ。PCは数のうえで凌駕されるようになるだろう。Gartnerの予測によると、2015年までにPCの販売台数は5億台を超える一方、タブレットは3倍増の約3億台に、スマートフォンは11億台を超えるまでに大きく伸びるという。
こういった大きな変貌が予測されているにもかかわらず、ウェブの世界ではコンピュータが中心に据えられ続けている。さまざまな職種の従業員や業界のプロフェッショナルたちが、この先も当分はコンピュータを用いてインターネット上のウェブサイトのデザインや構築、コンテンツ制作を行い続ける一方で、大多数のユーザーがスマートフォンやタブレットといった端末を主体にしてインターネットにアクセスすることになるはずだ。
iOSやAndroid、Windows Phoneを搭載したデバイスによって、本格的なモバイルインターネットエクスペリエンスが提供されるようになっている一方で、モバイル向けのウェブサイト自体はまだ一人前のものにはなっていない。つまり、あまりにも多くのウェブサイトが、Adobe Flashやマウスオーバーアニメーションを使用していたり、マウスを使っているユーザーのみを対象として設計したJavaScript機能などを用いているため、モバイル端末を使ってアクセスしているユーザーにとっては使い勝手の悪いものとなっているということだ。こういったサイトの多くは、画面の小さいマルチタッチデバイス用のモバイル向けサイトも用意しているものの、残念なことにたいていの場合、PC向けサイトの持つ機能すべてが提供されているわけではない。
これこそが、ウェブ全体で見た場合、モバイル向けサイトに対するユーザーの満足度が低く留まっている原因であり、ユーザーがモバイルエクスペリエンスに最適化されたネイティブアプリケーションのダウンロードに走る理由でもある。ここでの問題は、企業がウェブ向けの機能一式と、モバイル端末向けのネイティブアプリケーションをそれぞれ開発する羽目になることで、2つの異なったエクスペリエンスが作り出されてしまうという点にある。また、モバイルOSにはそれぞれ異なった開発ツールが用意されているため、企業はプラットフォームごとにそれぞれアプリケーションを開発し、それらの整合性を考慮しながらアップデートしていかなければならないのである。こういったことは非実用的であり、いつまでも続けていくのは無理な相談というものだ--さらに、ここまででは触れていなかったものの、企業はタブレット向けアプリケーションも別途開発しなければならないという現実もある。
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