KDDI、沖縄セルラーは4月20日、auブランドで初めてとなるAndroid 4.0を搭載した「HTC J ISW13HT」を5月下旬以降に発売すると発表した。
HTC J ISW13HTは、2月に発表した「HTC One S」をベースにしつつ、KDDIとHTCが共同で日本市場向けに特化して開発したオリジナルブランドだ。HTC Jの“J”は「Japan」からとったものだという。
日本独自のワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信、Eメール(~@ezweb.ne.jp)、緊急速報メールにも対応。さらに、8台まで接続できるWi-Fiテザリング機能とWiMAX通信機能も備える。
HTC NIPPON代表取締役社長の村井良二氏は、「スクラッチから(ゼロから)作った端末で、非常に大きな意味がある。日本のマーケットでブランドを強くしたい。愛称として、HTC Jと覚えていただけるよう、強い意気込みを表したネーミング」と説明する。
また、「今年は、フィーチャーフォンを使っていた人が乗り換える、ターニングポイントの年。これまでアーリーイノベーターにも支持されるものを作ってきたが、マジョリティにも親しんでもらえる。スマートフォンは難しいという心配を払拭したい。手に持っていただければ、私にも使えると思ってもらえるような、おすすめできる端末に仕上がった」とし、20代、30代をターゲットに広げて行きたい考えを示した。
今回のコラボレーションが実現したのは、HTC Corporation CEOのピーター・チョウ氏とKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が友人関係にあることも背景にあるという。
田中氏は、海外の出張先でHTCブランドをよく見かけること、実際に見せてもらうとスムーズに気持ちよく動くことから、「日本に持って来たいと、2年前に台湾のオフィスへ押しかけていった。そのとき以来の友人」と明かした。
「海外トップブランドのHTCを持ってくるだけじゃなく、ジョイントワークとして、本当にすばらしいものが出せたということを、日本におけるスマートフォンのマイルストーンにしたいと思っている」と意気込む。
チョウ氏も、「日本にやってきたとき、KDDIのネットワークに感銘を受けた。ネットワーク、品質、安定性ともに世界最高のものだと思う。切にKDDIと手を組みたかったが、フィーチャーフォンが主流だったので対話を続けた。KDDIの最高のネットワークと(HTCの)最高のプロダクトとを組み合わせたかった。それを、田中さんが励まし、支え、資源を投入してくれた。2つの会社が一緒になって、デバイスをカスタマイズする共同の努力だった。このチャンスを与えてくれたことに感謝する」と語り、念願のプロダクトだとした。
一方で、今回のプロダクトはトントン拍子に進んだ、というわけでもないようだ。ピーター氏が「イノベーションのパイオニアとして10年以上活躍し、テクノロジを追求してきた。田中さんはプロダクトは可愛くデザインすることも重要だといった。謙虚な会社でなければならないので、耳を傾けた」と語ると、田中氏が「謙虚な会社だと言ったが、日本の市場をなかなか理解してくれなかった」と笑い飛ばす一幕もあった。
スマートフォンを世界で展開するHTCが、日本のためだけに端末をつくる狙いはなにか。「日本のマーケットそのものが魅力的で、決して小さいマーケットとは思っていない。日本はお客様の目が厳しい。そういった厳しいマーケットで、HTCが再度鍛えられて、海外で強くなることには意味がある。流行のトレンドを日本から再輸出する。そういった意味でも、端末の数という意味以外で副次的に魅力的だと思っている」(村井氏)と語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス