FacebookがInstagramの買収を発表した。そして、Facebookの最高経営責任者(CEO)であるMark Zuckerberg氏が米国時間4月9日にFacebookがInstagramを「完全に」取り込んでしまうようなことはないと約束したにもかかわらず、プライバシーに対する新たな懸念が既に生まれている。
アメリカ自由人権協会(ACLU)北カリフォルニア支部の弁護士を務めるChris Conley氏は「懸念の1つとして、相手がFacebookだという点を挙げることができる」と述べ、「プライバシーと、ユーザーによる選択の尊重に対する同社のこれまでの姿勢は玉石混交であった」と続けた。
Facebookのこういった姿勢には、ユーザーアカウントのデフォルト設定を何度も変更し、ユーザーデータをより幅広い範囲に公開するようにしていったことも含まれている。この件については、プライバシー擁護団体の怒りを買い、あまりにも分かりにくいとの非難を呼び、2011年秋にようやく米連邦取引委員会(FTC)と和解した。
最大の(そしてまだ回答されていない)疑問は、人気の写真共有サイトであるInstagramが、どの程度までFacebookに取り込まれるのかというものだ。
Instagramで共有される写真は、デフォルトですべて公開されるようになっている。しかし、ユーザーは設定メニューで「プライベート」(Photos are private)にすることも可能であり、こういった場合には将来のフォロワー(つまり今はまだフォローしていないユーザー)はInstagramユーザーからの承認が必要になる。ただ、こういった設定を追加で行っているユーザーはほとんどいないようだ。
スタンフォード大学のインターネット社会研究所のRyan Calo氏は、「わたしの目には、FacebookがInstagramのデータを自社のものにしようとしていることの方が、大きな問題に映る」と述べる。「Instagramのユーザーたちは、広告主や政府から利用される機会が比較的少ない、シンプルなサービスに加入したと考えていた。しかし今回の買収により、彼らのデータはソーシャルグラフ全体と結合されてしまう。これはコンシューマーにとって、データの小川で楽しくボート遊びをしていたところ、いきなりソーシャルなデータの大海に放り出されるようなものだ」(Calo氏)
Instagramの現行ポリシーはプライバシーの保護を重視したものとなっている。個人を特定できる情報は、従業員や契約業者などを除き、「誰にも」開示しないと約束している。とは言うものの、プライバシーに関する問題に詳しいある弁護士がCNETに語ったところによると、このポリシーには明らかなミスがあり、自社が買収された際にどうなるかについては実際に何も規定されていないという。
Center for Democracy and Technology(CDT)のJustin Brookman氏は、買収された場合であっても「ユーザーは特定のプライバシー保護規定の下でInstagramに加入しているという点から見れば、これらの条項は有効」と述べるとともに、「もちろんのことながら、買収後に投稿される新たなデータについては、Facebookが新たな条件を設定することができる」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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