神奈川県・横浜の港口である関内地域。開港場として栄えたこの地域に、地元横浜で事業を手がける起業家やNPOなどが集まる建物がある。「mass×mass 関内フューチャーセンター(マスマス)」と呼ばれるこの施設は、横浜からこれからの新しい働き方を実践するための協働の場となっている。
マスマスは、持続可能な社会起業家のビジネスモデルについての情報交換や人材の交流を目的とし、よりよい地域づくりに向けたネットワークの場として、2011年3月にオープンした。
「社会起業家の育成などが中心。社会情勢が変化してくる中で、地域課題の解決の場としてしてきたいと考えている」と、マスマスを運営している関内イノベーションイニシアチブ ゼネラルマネジャーの治田友香氏は語る。
横浜市が支援する創業支援、産業観光復興、地域活性化などのモデル事業として設立された関内イノベーションイニシアチブ。もともとは神奈川県から認可を受けた起業家育成支援組織である「公益財団法人起業家支援財団」が基盤となっている。ビジネスプランのブラッシュアップと奨学金プログラムからなる「学生起業塾」が財団の事業の中心だという。
「もともと(学生起業塾という)ソフト面での支援をしてきたが、ハード面での支援の道を模索していた。地域の業務再生を図るモデル事業の募集があり、社会起業家がよりまちづくりに関与する場をつくりたかったのがマスマス設立のきっかけ」(治田氏)
これまで起業家同士をつなぐ場があまり横浜になかったということもあり、市に事業提案をおこない無事にモデル事業として採用され、設立へと至った。
マスマスは、1階のオープンスペースと2階にある小分けのシェアオフィスがある。オープンスペースはパブリックエリアとコモンエリアにわかれており、パブリックエリアについては一般の人が自由に出入り可能。定期的にセミナーやイベントなどが開催されている。コモンスペースは約44席程度のオープンデスクスペースで、入居者の作業スペースとなっている。2階は仕切りのある半個室なオフィス空間を提供している。メールボックスを用意するほか、法人登記などにも対応する。
千駄ヶ谷にある「チャリ千駄ヶ谷」の運営や、渋谷などにもスペースを構えるco-labが建築や空間デザインで協力。そのほかにもマスマスと同様に地域協働に関する起業支援を手がける地域協働推進機構などとも連携する。資金面では、横浜に在住している企業やマスマスが入居する建物の運営を行う財団法人神奈川県中小企業共済会館が協力するなど、地域との関係性と活性化を目指した方針で運営している。
「おもに起業家支援を行う施設だが、IT系の人たちや会計士などの士業関係の人も多く入居している。ほかにも、子育て支援やパフォーミングアーツに関わる人も居る。入居者自身が街を思い、街に貢献するという意識を持っている」(治田氏)
ただ入居者に場所を提供するだけではない。関内で活動する起業家や研究者などによるセミナーやワークショップ、ビジネススクールを定期的に開催しており、関内全体の活性化を図るアクションを共創していく「関内エンハンスドプログラム」なども実施している。「地域という社会を市民でどう作り上げていくか」というテーマのもとに、関内のこれからを担う多くの人達に議論とアクションのための場を用意している。
毎週水曜にはコワーキングの体験イベント「Wednesday Jelly!」を開催。入居者だけでなく、幅広い人々に関内まで足を運んでもらい、情報交換やコミュニケーションを図る場を設ける試みもおこなっている。
「NPOや社会起業という言葉がまだまだ固いイメージがある。もっとラフにつながる仕掛けをしていきたい。コワーキングという言葉がでてきたことで、いろいろな人たちが関内に来るきっかけができた。これからは対外的な試みもいろいろとやっていきたい」(治田氏)
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