普通なら、雇用主が従業員のFacebookや「Google+」アカウントにログインして、彼らの個人的なメッセージ、写真、ウォールやストリームへの投稿を調べたりすれば、その雇用主はコンピュータへの不正侵入に関する米連邦法に違反していることになる。
ただし、従業員が雇用主に許可している場合はもちろん別だ。
ここに法の抜け穴があり、少なくとも一部の雇用主は、将来の従業員についてよく知るためにそれを利用している。建前としては自発的な行動だとしても、現実的には、自分のアカウントにログインして面接官があれこれと見られる状態にしなければ、職を得られないかもしれない。
MSNBCのBob Sullivan氏が米国時間3月6日に報じたところによると、メリーランド州矯正局の求人に応募した就職希望者は、面接の席で「自分のアカウントにログインした上で、ウォールの投稿や友人、写真など、プライバシーの壁の向こうにあるものをクリックする様子を面接官に見せること」を求められたという。
今回のメリーランド州矯正局のやり方は、2011年にあった矯正局の方針変更によるもので、以前は就職希望者に対して、自分のFacebookのログインアカウントとパスワードを提出するよう求めていた、と米国自由人権協会メリーランド支部が2011年に伝えている。その目的は、ギャングとのつながりがある人物を矯正官の候補から除外することだと発表されている。報道によれば、ノースカロライナ州警察も同じ方針をとっているという。
それは、従業員のオンライン上での行動を逐一把握しようという雇用主が増えつつある傾向の一端を示すものでもある。「Trackur」という製品は、「使いやすいと同時に、驚くほど多くの機能を有するソーシャルメディア監視ツール」だとうたわれている。SocialIntel.comは、「ソーシャルメディアポリシー違反の発生を雇用主に通知する、効果的で、費用対効果の良い方法」を用いた「ソーシャルメディアの審査機能」を提供する。
米国においては通常、従業員が勤務中に、あるいは仕事について、いかがわしい内容や不適切な内容をブログ(またはFacebookやTwitter、Google+)に書いた場合、雇用主にはこの従業員を解雇する権利がある。
この規則には例外がある。契約を締結している組合の従業員は、「正当な理由」なしには解雇されないことが多い。信仰する宗教や性的指向をブログで明らかにしたために解雇されるのは、違法と見なされる可能性が高い。組合を組織することも保護された権利であり、その点をめぐって、全米労働関係委員会は2010年にコネチカット州の医療サービス企業を訴えている。
しかし、そうした比較的狭い範囲に該当する懲戒処分の例は非常に少ない。Appleは、同社製品についての否定的なコメントをFacebookに投稿したとして、英国の従業員を解雇している。オーストラリアのある国家公務員は、Googleを使って「knockers」という単語(この場合はドアとは関係なく、女性の胸を意味する俗語)を検索したとして解雇された。
これまでの歴史から推測すると、雇用者がログイン認証情報を聞き出だすことで得られる情報面でのメリットは、すぐになくなるだろう。米CNETの姉妹サイトであるCBSNews.comの記事で既にアドバイスされているように、就職希望者は前もって自分のプロフィールの体裁を整えておくようになる。または、そのためのアプリがより一般的になっていくだろう(「Wisk-It」というFacebookアプリが既に存在する)。
別の言い方をすれば、雇用主が見つけられるのは、テクノロジやソーシャルメディアにそれほど精通していない、準備不足の志願者だけになるということだ。それはそれで十分なのかもしれないが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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