ソーシャルメディアをテーマにしたイベント「SOCIAL MEDIA WEEK TOKYO」が東京都内で2月13日~17日まで開催されている。3日目の午後のセッションでは、リーバイ・ストラウス ジャパン(リーバイス)のLSJマーケティング統括部 デジタルマーケティングマネジャーの熊村剛輔氏と、「VOGUE」「GQ」といったファッション誌を発行するコンデナスト・グループでデジタル戦略を担当するコンデナスト・デジタルのカントリー・マネジャーの田端信太郎氏が登壇。「グローバルメディアとグローバルマーケティング」と題した対談を通じて、グローバルでブランディング戦略を進める上でのソーシャルメディアの活用法や、消費者との対話で気を付けるべき点などについて議論された。
対談は大きく3つのテーマに分かれて進んだ。最初のテーマは「ローカルとグローバル」。グローバルでのブランディング戦略と一言で言っても、地域や国ごとに国民性も違えば、生活環境も異なる。ソーシャルメディアを活用してブランドメッセージを発信する上でも、グローバルで統一すべき点と、地域に根ざしてローカライズすべき点について、どこで線を引けばよいのか悩む人も多いのではなかろうか。
リーバイスとコンデナスト・グループは衣料と出版で業態は異なるものの、いずれもファッションに関連する事業を展開している。国によって、ファッションの流行も違えば、季節も異なる。そのため、各国の状況に合わせてローカライズした情報を発信しなければ消費者の心には届かないという意見で両者で一致した。
ただ、両者のソーシャルメディアの活用法を見てみると、その戦略の違いが浮き彫りになる。コンデナスト・グループでは、雑誌やウェブサイトに掲載するコンテンツの8~9割を各国で作っているという。「各国に自治権があり、ソーシャルメディアの活用もローカルに任されている」(田端氏)。
例えば、女性向けファッション誌であるVOGUEフランス版のTwitterアカウント(@VogueParis)には、82万人を超えるフォロワーがいる。世界的なファッションショー「パリ・コレクション」を実況中継することで話題を呼び、フォロワーが増えた。
コンデナスト・グループが根底に持つ“ラグジュアリー”というブランドイメージを下地にしながら、活用するプラットフォームや発信する情報を、各国ごとに合わせて柔軟に対応する。その戦略こそが、コンデナスト・グループならではの強みだと田端氏は説明した。
一方、リーバイスでは、各国のファンを「Levi's」という1つのFacebookページに集めており、ファンの数は実に1000万人を超える。投稿する内容は、システムによって地域ごとに出し分ける。「投稿する情報を届けたい国のFacebookユーザーにしか表示されないように、地域をターゲティングして出し分ける仕組みを持っている」(熊村氏)。
プラットフォームはグローバルで統一することで強力なファンの基盤を作りながら、配信するコンテンツ面でローカライズするという戦略をとっている。ただこの戦略は、グローバルで統一的なブランディングを進めたい本国の意向が強い。
「ファッションは人の感性に訴えかけるので、各国の消費者に合わせた“キレイ”“カッコイイ”を伝えないと響かない」(熊村氏)
そのため、なるべくローカル色を残せるように「ハードに調整している」(熊村氏)。衣料という事業を営む上で、地域に根ざしたマーケティングを展開すべきだと考える持論と、本国のブランディング戦略の板挟みで、苦労する一面も赤裸々に語った。
とはいえ、強いブランドを持つ企業であるほど、そのブランドを自社主導でコントロールしたいと考えるのは当然だろう。そこで、2つ目のテーマである「ブランドコントロール」へと話題は移った。
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