デジタルガレージは1月18日、国際的なインキュベーション事業の本格化に向け、シンガポールのPivotal Labsと米国のEdgeCaseを買収することで合意したと発表した。買収はデジタルガレージの米国法人であるDigital Garage USの完全子会社New Contextを通じて行う。買収額は非公開だが、2社で10億円を下回るという。
Pivotal LabsはTwitterやSalesForce.com、Grouponなどの顧客を持つ。一方EdgeCaseはRuby on Railsでの開発やコンサルティングで成功を収めるなど、いずれもアジャイル開発で著名な開発会社。アジャイル開発とは、ソフトウェアの開発、検証を短期間に区切り、期間ごとに開発工程を一通り進めることで部分的に機能を開発することで、開発の効率を高める手法のこと。
この手法で開発すると、テストまでをすませたパーツを作って組み合わせていくため、バグが発生した際も発見が容易になるなどのメリットがある。「日本の『カンバン方式』のようなもの。在庫メリットを持たないので、在庫に不良があった際に、リスクが少ない。つまりリリーサブルでバグのない状態。Facebookもそう。Google+が新機能をリリースした際、すぐに対抗すべき機能をリリースできるが、これも常にリリーサブルな状態だからこそ」(デジタルガレージ取締役でMITメディアラボ所長の伊藤穣一氏)
デジタルガレージではこれまで、TwitterやLinkedInなどのインキュベーション事業を展開してきた。これまではシリコンバレーなどの有力ベンチャーに投資を行い、業務提携して日本でのサービス展開も進めている。
しかし一方で、日本向けのサービス開発が後回しになる、国別に開発の優先順位が変わってしまうという問題があった。これにNew Contextが今回の買収で持つことになる開発力を組み合わせることで、グローバルでの開発体制を強化。新たなインキュベーションのエコシステムを作るという。
前述のTwitterやLinkedInのほか、memolaneやkicksend、Pathのように、デジタルガレージが投資する企業が日本市場に参入する際や、デジタルガレージグループのOpen Network Labが支援するような企業が海外に進出する際などは、New Contextがバックアップを行う。「過去はポータルやEC、ソーシャルメディアと(インキュベーションを)やってきたが、この次を狙う。アジャイル開発ネットワークを加えることで、日本をテストマーケティングエリアにするインキュベーションのエコシステムを作る」(デジタルガレージ 代表取締役/グループCEOの林郁氏)。 収益化については、支援する会社の規模やキャッシュの状況によって検討していくという。
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