2011年11月に、ドイツのAV-TESTというセキュリティ専門企業が非常に興味深い調査結果を公表した。彼らはAndroidマーケットで公開されている7つの無料アンチウイルスソフトと、2つの有料アンチウイルスソフトをテストした。その結果、7つの無料アンチウイルスソフトで一番優秀なもので検出率は32%、その他は10%にすら満たなかったのだという。
ちなみに、2つの有料アンチウイルスソフトは「F-Secure Mobile Security」と「Kaspersky Mobile Security」だったのだが、この2つはどうだったのか。両者ともに、50%の確率でウイルスやマルウェアのインストールを阻止した。残りの50%はというと、インストール後ではあるが、確実に検出し対処したとのことだ。
以上の結果から、現段階では無料のアンチウイルスソフトは、残念ながら利用するに値しないようだ。
ちなみに冒頭で2011年12月12日の事件について触れたが、実はこういった事件は初めてではない。2011年3月1日にもGoogleは21個のマルウェアをマーケットから削除している。その時に驚かされたのは、マルウェアに感染してしまったスマートフォンから、Googleは遠隔でマルウェアを削除したのである。12月12日の事件でも同様の措置をGoogleが取っていた可能性は否定できない。
Androidで現在動いているアプリを確認するアプリで、見知らぬアプリが起動していないかを確認するのは効果的だ。しかし、これには専門知識が必要になるし、メーカー独自のサービスを不審なアプリと誤認してしまう可能性もある。
何かのアプリをインストールした後に電池の消費が激しくなったなどということがあれば、疑わしいことに違いはない。しかし、悪意のないアプリでもそういったアプリは山ほどある。
見知らぬ番号にSMSが送信されていたなどとなれば、これは限りなく黒に近い。だがそれを送信したアプリを特定するのは容易ではない。この場合、速やかにスマートフォンを初期化することを強くおすすめする。疑わしき症状が出てから、事後の対応はあったとしても、結局のところ、信頼のおけるアンチウイルスソフトに頼るのが一番確実なのが現状だ。
ここまで読んでくださった読者の中には「Androidは恐ろしい! やはりiPhoneにすべきだった」と思われる方もいるだろう。確かにiPhoneはAppleのアプリ審査が厳しいこともあり、今のところ大きなマルウェアやウイルスによる被害は聞かない。しかし、万が一Appleの審査さえ通過してしまえば、そのアプリは全ての権限を与えられたAndroidアプリに等しい。
スマートフォンは今までの携帯電話とは根本的に違う、立派なパーソナルコンピュータだ。ユーザーはその事実をきちんと理解し、上手に使いこなして頂きたい。
【著者】工藤友資
アット・イー・デザイン 取締役/CIO
1976年11月20日生まれ、東京都出身。ライターも兼業。人工知能の開発をライフワークとする。国産初のRSSアグリゲーター「RabbitTicker」を企画開発。「BlogPet」を企画開発。2004年、「BlogPet」にて「Internet magazine」のウェブサービスアワード ブログ関連サービス部門で最優秀賞を受賞。自然言語処理エンジン「JackalopeEngine」*特許第4677051号「会話システム及び会話文章処理方法」等の特許を取得。問い合わせはkudo@bingalab.orgまで。
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