今や中国のどこの都市へ行ってもその姿を見かけることのできるトンデモケータイたち。その勢いは中国を飛び出し東南アジアだけではなく、ヨーロッパやアメリカにも進出しているほどだ。さすがに先進国ではまだまだマイナーな存在にすぎないが、現地企業ブランドの製品として着々と売り上げを伸ばしている例もある。また東南アジアでもやはり地元の企業が販売を行っており、1メーカーで多数のラインアップをそろえているところもあるほどなのだ。
中国の次に巨大な通信市場であるインドでも、毎月100万人の新規加入者を後押ししているのがトンデモケータイだ。インドでは中国直輸入のメーカー名不詳な謎ケータイも売られているがその数はあまり多くない。一方で新興企業が毎月のように新製品を出してシェアを拡大している。G'five、Spice、Micromaxといった日本では知られていないメーカーのケータイがインド中で売られているのだ。
このうちG'fiveは世界のケータイシェアトップ10にも時々顔を出す「隠れ大手メーカー」である。製造は中国で、製品を見てみると中国で売っているトンデモケータイそのままのものも多い。G'fiveは中国で闇製造、闇販売されているトンデモケータイのうち、ちゃんと使えそうなレベルの製品を自社の名前をつけ、保証もつけて正しい製品として販売しているのだ。製品にはマニュアルもついてくるし、バッテリの容量が水増しされていることもない。トンデモケータイだってきちんと作ればまともな製品になるのである。
G'fiveは海外の展示会にも出展するなど、販路をインドや東南アジアからさらに広げようとしている。数年内には大手調査会社の携帯電話世界シェアの報告に毎回名前が載るほどの巨大メーカーに成長する可能性も秘めているだろう。ではG'fiveはどんなケータイを出しているのだろうか?今回はその中でも「お得で人気」と呼ばれる一品を入手してみた。
今回購入したのはG'fiveの「W6070」という機種。暖色系の色彩のパッケージはインドでウケるのだろうか。パッケージから中身が見えるようにすることで、開封しなくてもどんなケータイが入っているかわかるようにしているあたりは親切だ。トンデモケータイにありがちな「開けてみたら全然違う安っぽいケータイが入っていたぁー!」なんて騙すようなことはしていないのね。このように正直に売る姿は好印象でもある。
またパッケージの右上には丸い穴が開いており、スピーカの存在を確認することができる。「Speaker FOR FREE」とパッケージに書いてあるように、外付けのスピーカがおまけについているわけだ。インドといえば全員で踊りだす軽快な音楽が特徴的だが、このW6070を夜に持ち出して、公園などで音楽を大音量で流してみんなで踊る、なんて使い道を想定しているのだろうか。スピーカがどれくらい使い物になるかはあとでじっくり試してみることにしよう。
そしてパッケージには「IMEI Number Registered」という表記もある。IMEI番号とはケータイ1台1台個別に付与される識別番号で、トンデモケータイはそれをコピーして使い回すというイケナイ行為をしているものが多い。このIMEI番号を通信キャリア側がチェックして、不正のものはネットワークから遮断することも可能だ。しかしG'fiveのケータイは大手メーカー品と同様にちゃんと個別のIEMI番号を取っているので、いきなり使えなくなっちゃうこともない。こんなことをわざわざ表記するあたり、逆に言えばトンデモケータイの多くがかなりテキトーに製品を作っているのがわかるってものでもある。
ということでパッケージを開けてみればW6070本体とスピーカがキレイに収められている。中敷きのプラスチックもヨレヨレしていることなくしっかりしているねえ。その中敷きをはずすと、そこにはアクセサリ類が整然と入れられている。青いビニール袋にはすべてG'fiveのロゴがはいっているあたりは手が込んでいる、というか芸が細かい!適当なビニール袋でごまかしたりしていないのね。実は大手メーカーのケータイでもここまでやっているところは他には一切なく、G'fiveはかなり本気でケータイを作っているのだろう。
その本気度がわかるアクセサリがこちら。まずは合皮製だがロゴ入りのケースが付属してくる。またACアダプタは、コードをベルクロテープでまとめられるようになっており、そこにもロゴが入れられている。「G'fiveを買ってよかった」と購入したインド人たちが喜ぶ姿が見えてくるようだ。
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