最近のトンデモケータイメーカーはネタに困り、何を作っていいかわからないところも出てきているようだ。特にここのところのスマートフォンブームのおかげで、各社から出てくるフルタッチケータイはデザインも似通ったものばかり。また機能の開発もトンデモメーカーは一切行っておらず、利用するプラットフォームの開発メーカーに頼るだけ。TV乗せたりデュアルSIMカード対応だったりモーションセンサ搭載だったりと、機能で他社と差別化するのも難しい状況になっている。
もちろん3GやらNFCなどに対応する手も残されているが、価格が上がってしまえば今度は消費者が買ってくれなくなる。だってこんにち、トンデモケータイに1万円以上も出すような消費者は中国ですらいないのだ。となると既存の技術をブラッシュアップしつつ、値段は上げずに新製品を開発しなくてはならない。ない知恵を絞ってどうやって売れる製品を作っていくか、トンデモメーカーたちの苦悩は以前にも増して増えている。これからは3画面化やらデュアルTVチューナ搭載とか、無意味な製品も出てくるかもしれない。
なーんて思っていたら、やっぱり変なのを開発しちゃったメーカーがいましたよ。見た目はフツーなのだが、なんとSIMカードがたくさん入るらしい。当連載でもこれまでSIMカードが3枚入っちゃう「トリプルSIMカード対応ケータイ」は2回ご紹介している。
だが今回紹介するのはなんと「4枚SIMカード対応ケータイ」だ。トンデモケータイはデュアルSIMカードが一般的ってことで世界中には2枚のSIMカードを使う人が意外といるのだろう。だが3枚対応ケータイですら誰が使うのか想像もできなかったのに、こいつはさらに1枚追加、4枚も対応しちゃってる!こんなのいったいどこに需要があるのか教えて欲しいのだが、作ったメーカーの連中は「やった!これで他社に勝てるぞ!」と本気で思っているんだろうなぁー。
例によってメーカー名不詳のこのケータイ、製品名は「F160」と書かれている。本体のデザインはBlackBerryライクな縦型でQWERTYキーボードを搭載したスタイル。ビジネス向けにも利用できそうなデザインだね。パッケージの写真を見るとまるで中身がスマートフォンのようだが、もちろん実際はただのケータイなので騙されないように(笑)。まぁ買った店の人も単純に「これはすっごいケータイなんだぞ!」とSIMカードの対応枚数だけをアピールしていたけど。
パッケージの中にはバッテリ2つ、ヘッドセット、USBケーブル、マニュアル、保証書が入っている。ACアダプタはコストダウンのためか入っておらず、PCなどからUSB経由で充電するようだ。また保証書はパッケージ内部に糊で貼り付いてしまっており取り出せない(苦笑)。まぁこんな製品にそもそも保証があるわけがなく、壊れたらこのパッケージごと販売店に持ち込んで文句を言うのが正しいクレーム方法だ。さらにはマニュアルにはSIMカード4枚の使い方も書いてない。買ってすぐマニュアル読んだら「あれ?騙されたのかオレ?」と思っちゃうかもしれないけど、ま、そのあたりもトンデモケータイなら当たり前のことなので、これくらいであたふたしてはいけないのだ。
F160の本体は若干小ぶり。それでいて厚みは1cm以上あるので、手に持ってみるとずんぐりむっくりした印象である。メーカー名や型番が本体に一切記載されていないのは美しさも感じられるが、一方で緑の発信キーが他のトンデモケータイとちょっと異なっている。デュアルSIMカード対応のトンデモケータイは発信キーを2つ備えているが、このF160はその2つのキーにそれぞれ「1/2」「3/4」と、1から4までの数字が表記されている。まさしく4枚のSIMカードを使うためにこんなことになっているのね。本来は4つの発信キーを搭載したかったんだろうけど、デザイン上さすがにそれは無理だったんだろう。
本体の背面もかなりすっきり。カメラの下の12.1メガの表記は最近の中国人でも誰も信用していないインフレ数字だ。売るお店の店員だって「これ本当に120万画素?」と聞かれても面倒なだけ、もうやめればいいのに……また電池カバーの下には「TV Mobile」とTV搭載を主張しつつ、SIMカード状のアイコンにABCDの文字をデザインで入れ、4枚対応をさりげなくアピールしている。でもTVよりそっちをもっと目立つようにしたほうがいいんじゃないの?
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