本当にこんな機能が必要なのか、と思えてしまうジョーク系のケータイやら、勝手にキャラクターを使って本物っぽいケータイを作ってしまう“トンデモケータイ”の世界。だがその中には「大手がやらなきゃ自分たちで作っちゃうよ!」というアグレッシブというか向こう見ずな製品もよく見かける。まぁ大手メーカーのケータイは1製品あたり少なくても10万台とか作るわけだから、売れ筋からはずれたケータイなんて出てくるわけはないのね。でも今の時代、そんなスキマ狙いのケータイをトンデモメーカーさんたちが日夜どんどん作っちゃてるわけなのだ。
そんな大手メーカーにはないケータイ製品カテゴリの一つが「宗教系ケータイ」。当連載でも過去に「南無阿弥陀仏ケータイ」と「禅ケータイ」を紹介したが、いずれも仏教を信仰する方々のためにまじめに作り上げた一品。メーカーはネタとして作っているわけではなく、「こんなケータイが絶対に必要だ!」という信念で作り上げているのだ。そもそも安易な気持ちで宗教に関わるケータイを作っちゃったらそれこそ罰当たりモノだから、大手メーカー品かと思うほどできがよい製品が多い。
そんなことで毎年1~2機種はこの手のケータイが出てくるのだが、2011年に登場した今回紹介するこのケータイはすごい!ついにこの宗教系ケータイの世界にも時代のトレンドがやってきたのだ。そう、それは「フルタッチスタイル」。大型画面を搭載しており、見た目は最近流行のスマートフォンライク。でもしっかりとデザインはそちら方面になっているという、すばらしい出来なのだ。今回はしかもトンデモケータイのメッカと言える中国の深セン市ではなく、河北省のメーカーによるもの。それだけにオリジナリティーにあふれた一品に仕上がっている。パッケージだって例によってケータイの箱には絶対見えないぞ!こりゃもうかなり期待していいトンデモケータイに違いない!
今回ご紹介するのは河北省の奥楽社/AOLEによる「AOLE 909」。見事に仏教を信仰する方のためにしっかりと作り上げたケータイである。真紅のパッケージには型番に加え「福」やら「福祐一生」などの文字、そして図柄が印刷されている。しかもパッケージの左右には金属製の留め具があり、これを抜き差ししてパッケージを開封するのだ。この留め具もよーく見ると獅子の顔のような整形がしてあるなど、手間隙をかけた熱意がずしりと伝わってくるようだ。
その留め具を抜いてパッケージを開けると、AOLE909本体がスタンドに立てられたかのような状態で鎮座している。この状態でそのままお仏壇に飾っても違和感のないような雰囲気を出しているのである。使わないときのことまでも考えているのがAOLE909のすばらしいところだろう。とはいえ台座の部分は安物のプラスチックなので毎日ここに本体を置いていたらあっという間に壊れてしまいそう。コストの関係で仕方ないとはいえ、ここをいい品質の素材で作って欲しいところだ。
またアクセサリはこの台座の内部に詰め込まれているが、一番目立つのがこれまた真紅のポーチだ。布製で「福祐 AOLE909」とワンポイント入り。これに本体を入れて毎日持ち運びたくなるようなデザインだ。他にはマニュアルやらヘッドフォンやらも入っている。そしてバッテリは例によってそれっぽいデザインがちゃんとされているのが心ニクイところ。仏教ケータイはバッテリデザインまでちゃんと手を抜かないのが決まりになっているのだろう。
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