パリ発--スマートフォンの2大勢力が争いを繰り広げる中、Google会長のEric Schmidt氏は現地時間12月7日、自身が考える勝者を率直に語った。
パリで開催中のLeWebカンファレンスで、Schmidt氏は技術者や意欲的な起業家からなる聴衆に向かい「現在は『Android』が『iPhone』をリードしている」と言い切った。
iPhoneや「iPad」、さらには「Mac」があふれる会場で同氏がこう発言すると、聴衆の間には懐疑の念を示すとみられる一瞬の沈黙が起きた。そこで同氏は「出荷数、『Ice Cream Sandwich』、価格低下、ベンダーの増加」という根拠を挙げ、より詳しく説明した。
Androidは確かに市場で成功を収めている。しかし、「iOS」に対する大きな弱点は、このカンファレンスでも非常にはっきりと示されていた。それは、プログラマーの間でトップの優先順位を獲得するという課題だ。オンラインメモサービスのEvernoteがこの日、出会った人を記録する新アプリ「Evernote Hello」を発表したが、現時点ではiPhone版しかない。ニュースリーダーを提供するFlipboardも、iPadからiPhoneへの拡充を発表したが、最高経営責任者(CEO)のMike McCue氏は、Android版に取り組んでいるのかさえ明らかにしなかった。
それでもSchmidt氏は、開発コード名「Ice Cream Sandwich」こと「Android 4.0」のリリースという追い風を受けてAndroid搭載端末が大量に出荷され、勝利を収めると考えている。
「最終的には、アプリケーションベンダーは量に動かされるが、量ならばGoogleのオープンなアプローチが有利だ。Android端末の出荷に取り組むメーカーは、世界中に数多く存在する」とSchmidt氏は説明した。「Androidの好き嫌いにかかわらず、このプラットフォームに対応することになるだろう。さらに、Androidへの対応の方が先になることさえあり得る」
Android端末を持った聴衆の1人が、iOS版のアプリがAndroid版と比べて優位にある市場の状況に不満を抱えていると発言した。しかしSchmidt氏は、Ice Cream Sandwichなどを理由に「6カ月後には逆のことを言っていると私は予想する」と答えた。
現時点で約2億台のAndroid端末が利用されており、毎日55万台が新たにアクティベートされているとSchmidt氏は述べた。
繰り返し起きるAndroid批判の1つとして、iOSの模造品だという見方がある。Appleの最高経営責任者(CEO)だったSteve Jobs氏も生前、この点に怒りを表明していた。AndroidがiOSの機能をコピーしたのか否かについてSchmidt氏はコメントせず、この問題に関するお決まりのセリフ「AndroidはiPhoneより先に発足した」を披露した。
Androidの成功はGoogleの計画の鍵となっている。OSそのものは無料で提供されているが、現在ブームになっているモバイル技術の分野で、自社のサービスをユーザーに届けるためのメカニズムとして機能しているからだ。ここで言うサービスには検索だけでなく、「Gmail」「Google Apps」「Google+」「Google Music」「Google Maps」などが含まれる。
「新たに登場する面白いアプリはすべて、ソーシャル、モバイル、そして地域情報の要素が組み合わさったものになってきている」とSchmidt氏は指摘した。
Ice Cream SandwichがGoogleを後押しするであろう理由の1つは、多くのサービスを共有するための各種機能が、より深い部分で統合されている点にある。
「われわれは電話端末をコンピュータだと考えてスタートした。コミュニケーションの道具だということを忘れていた」とSchmidt氏は語った。
Ice Cream Sandwichはサムスンの「Galaxy Nexus」に搭載されて出荷が始まったばかりだが、米国など世界の多くの地域ではまだ入手できない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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