起業のことは起業家が伝承すべき--Open Network Labが作るペイフォワード文化 - (page 2)

--なぜこのような制度ができたのですか。

前田:Y Combinatorでは2011年に2100社以上の応募があったそうです。しかし入れるのはわずか100社ほど。ファウンダーのPaul Graham氏も当然すべての面倒を見ることはできません。だから彼らもVenture Partnerという制度を作り、Justin.tvやPosterousといったスタートアップのファウンダーがメンターを務めているんです。今後同じようなことが日本でも起こると思いますよ。

--こういった活動のメリットというのは、「身近な人が教えてくれる」という以外に何があるのでしょうか?

高橋:以前、Justin(編集部注:Justin.tv創業者のJustin Kan氏)に会ったとき、「日本でもJustinのファンは多いよ」と言ったら、「いつでも会うから何かあれば言ってね」と言ってくれていました。そういう感覚でしょうか。いつでも気軽に相談できるという雰囲気があることです。

前田:北米の起業家はすごい若い方が多いのですが、20代前半でもナレッジと経験の伝承があるのでスタートアップのことをよく知っているんです。やっぱり日本はノウハウを次に伝える、ペイフォワードの文化が弱いのか、あまりうまくいっていない。そういう文化ができることそのものがメリットだと思ってます。

--伝承する先の起業家がどんどん出てこないと継続性がなくなりますね。

前田:新しい血を取り込む活動としてSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンバス)でのOnlab Startup Schoolというのを立ち上げています。学生の感覚はいいですよ。Onlabの第4期生もインタビューしてますが、SFC出身者が多いです。東京でこういったイベントをやっても結局いつもメンバーは同じで、反応も変わらない。学生たちはその点、入れ替わりもあるし反応もまったく違うんですよね。

高橋:ちょっと話は違うんですが、サッカーでチャンピオンズリーグを勝ち抜くバルセロナのようなチームは、実は下部組織が強い。それと同じで、VCやメディアがどれだけ支援したとしても、やっぱり起業家がさらに下の代の起業家を育てる必要があると思ってます。

前田:Onlabはまだロジックよりも文化を作っているフェーズ。それができつつあると実感しています。米国に登記したのも3社になったし、これからやってくる4期にも期待しています。

 私はこのプログラムを始めるにあたって、あまり深く考えなくていいと思っているんです。日本人は考えすぎなんです。米国なら、必要なことはすぐに実行に移す。Venture Partner制度もまずは試してみる。フィードバックしてピボットして。これをとにかく繰り返して文化を作っていきます。

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