「日本にベンチャーのスタートアップハブ作る」--エンジニア向け支援プログラム「Open Network Lab」始動

岩本有平(編集部)2010年04月30日 21時30分

 デジタルガレージ、ネットプライスドットコム、カカクコムの3社が提供するエンジニア向けの起業支援プログラム「Open Network Lab」。同プログラムの紹介やエンジニアのネットワーキングを目的とした月例イベントの第1回となる「Open Network Live!」を4月28日、デジタルガレージ本社にて開催した。

 Open Network Labは、ビジネスプランコンテストを核にした「Seed Accelerator」、オフィススペースを提供する「Laboratory」、今回のイベント同様にネットワーキングの場を提供する「Community」の3つの活動を通して、日本発世界を目指すエンジニアの起業支援や育成を進めるプロジェクトだ。

 Seed Acceleratorは、ビジネスプランコンテストである「Startup インキュベーションプログラム」と国内外の起業家や有識者といったメンター(指導者)による指導が受けられる「Mentorship」の2つで構成する。インキュベーションプログラムでは、6月末までにビジネスプランを個人もしくはチームで募集。審査を経て、9月末に開催を予定するデジタルガレージ主催のイベントでのサービス発表を目指すというもの。

 1次審査通過のチームには1人あたり20万円が提供されるほか、Open Network Labが提供するレンタルオフィスの優先利用権が与えられる。さらに2次審査に通過すれば1人あたり10万円が提供される。

 また、「賞金以上に大きい」(Open Network Lab事務局を担当するデジタルガレージ グループCEO室/Tech担当の渡邉太郎氏)のが、同プログラムに参加するメンターのラインアップだ。デジタルガレージ代表取締役でグループ最高経営責任者(CEO)の林郁氏やネットプライスドットコム代表取締役社長兼グループCEOの佐藤輝英氏、カカクコム取締役最高執行責任者(COO)の安田幹広氏、デジタルガレージ共同創業者で取締役の伊藤穰一氏らがエンジニアに対して指導する機会を提供する。「アイデアと環境だけでは成功できない。実際に起業したり、成功した人の助言にはリアリティーがあり、起業を志す人に大きな価値になる」(渡邉氏)

 また日本に加えて、米国やシンガポールとの人材交流の機会を用意するほか、資金の面では、伊藤穣一氏が主幹となってシンガポールで設立するベンチャーファンドと連携して支援する予定だ。

 なお、同プログラムを利用したエンジニアらは、将来会社を設立した際にプログラム主催の3社へ、一定割合以上の優先投資権を付与する必要がある。またメンターに対しても一定割合以上のストックオプションを与えることが義務付けられる。

 渡邉氏と同じく、Open Network Lab事務局を担当するネットプライスドットコム経営戦略室の前田紘典氏は、最近のベンチャーの動向として、イスラエルやニューヨークなど、シリコンバレー以外の地域からベンチャーキャピタルの投資対象となる優れたネットベンチャーが生まれている現状を紹介。その理由について、「オープンソースによって10年前に数億円かかったシステムを安価に作れるようになり、クラウドを利用してインフラコストを削減できるようになった。さらにソーシャルネットワークの普及によってマーケティングコストが削減できたから」と説明する。

 ではなぜシリコンバレー以外にもスタートアップ企業が生まれる地域が形成されたのかというと(1)資金調達のしやすい「Fund Network」ができあがり、ベンチャーキャピタルファンド自体が競い合い、工夫していること(2)起業経験者らによる「Mentorship」があること(3)そして、ファンドネットワークとメンターシップの両方を提供して起業家を短期育成する「Seed Accelerator」が生まれてきたこと(4)リスクに対する姿勢がポジティブな「Community」があること――という4点を挙げる。そして「我々はこの4つの要素に加えてLaboratoryの機能をつけてOpen Network Labを作った。日本にスタートアップハブを作るので、GoogleやAppleを超える会社を作ってほしい」と語った。

イベントではこのほか、米Twitterが4月14〜15日に開催したカンファレンス「Chirp」に関する報告などが行われた。Open Network Live!は今後毎月1回第4水曜日に開催される予定。

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