Dropboxは、ユーザーがあらゆるデバイスから自分のコンテンツに簡単にアクセスできるクラウドベースのサービスだ。シリコンバレーの寵児であるDropboxは、創業からわずか4年で4500万人のユーザーを獲得したと主張している。
そして、創設者で最高経営責任者(CEO)のDrew Houston氏の説明を聞くと、同社はまだまだ始動したばかりのようだ。
Houston氏は、サンフランシスコで開催のGigaOM RoadMap 2011サミットにおいてOm Malik氏と対談し、「人々は、われわれのことをストレージフォルダと考えている。しかし、それはわれわれがやりたいと考えていることの第1章にすぎない」と述べた。
Houston氏が2007年に創設したDropboxは、このところテクノロジやビジネス関連のニュースに頻繁に登場している。同社は2011年10月下旬、2億5000万ドルの資金を調達した。これは、昨今の大半の新興企業が調達している金額よりも大幅に多い。その後、雑誌Forbesは、故Steve Jobs氏が2009年12月にHouston氏に接近し、Dropboxを買収しようとしたことについて詳細に伝える記事を掲載した。
現在28歳のHouston氏がその話を断ったため、Appleは「iCloud」のローンチへ乗り出した。最新の「iOS」で登場したばかりのiCloudは、Dropboxの市場と真っ向からぶつかる製品だ。どこからでもコンテンツにアクセスできるサービスの市場は、新興企業のBitcasaなど、ほかにも多くのライバルが狙っている。
Houston氏は米国時間11月10日に行われた今回の対談で、Appleの名前は出さなかった。確かに同氏は、Appleなどの競合他社について、それほど心配していないようだった。
しかし、同氏の成功は多くの点でAppleの恩恵を受けている。Houston氏がDropboxを創設したころ、人々はテキストであれ、画像であれ、音楽であれ、自分のファイルのほとんどをコンピュータや外付けハードドライブに保存していた。しかし、コンピュータとインターネットをポケットに入れて持ち運べるようにした「iPhone」の登場で、そうした状況は一変する。家庭や職場だけでなく、どこからでもファイルにアクセスする理由ができた。
Houston氏は「iPhoneという別の画面が突然現れた」と言う。本当の意味でビジネスチャンスが訪れたのはそのときだった。
車やテレビなど、さらに多くのデバイスがつながって、「すべての経過を追うことが極めて困難になる」につれて、需要は一層大きくなっている、と同氏は主張する。
テクノロジに精通した人なら、これらはすべてストレージと同期に関することだと言うかもしれないが、Houston氏はそうした用語に反発する。同氏は、「それらの言葉は何の意味も持たない」と述べた。同氏の目標は、Dropboxを誰もが「生活を楽にする」ために利用できるシームレスな体験にすることだ。
確かにそれはSteve Jobs氏のような物言いであり、おそらくDropboxが成功を収める大きな理由となったアプローチである。
当然、Dropboxはいわゆる分散型ワークフォースに寄与している。しかし、Houston氏は新たな使用法の話を聞くことがよくあると述べた。例えば、同サービスを使って学生と文書を共有している教授もいるという。
では、次は何が来るのだろうか。つまり、ストレージと同期の向こう側には何があるのか。Houston氏はそれを明かそうとしなかったが、自身の考え方をそれとなく示した。
「われわれがコンピュータ上でファイルを管理する方法は異常だ。このシステムは何十年にもわたって利用されてきた。しかし、『これをオンラインに保存』という機能を持つ単一のボタンはまだない。まさにこれが、データをクラウド上に置くことで解決できる類の問題だ」(Houston氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス