サイボウズは11月7日、PaaS「kintone(キントーン)」の提供を開始した。サイボウズ独自開発のクラウド基盤「cybozu.com」上で提供する。両サービスを柱に、会社全体をクラウドにシフトさせる考えだ。
kintoneは、ドラッグ&ドロップで情報入力フォームを作成できる「データベース機能」、チーム内での業務を円滑に進めるワークフロー機能を搭載した「プロセス管理機能」、データベースに登録された情報などを手軽に確認できる「コミュニケーション機能」などを搭載したサービス。
ファストフードやファストファッションのように気軽に使える“ファストシステム”をコンセプトにしており、アンケートや売上集計、日報、タスク管理などのアプリを数分程度で構築できる。サービス名の由来はスピードの速さをイメージさせる「筋斗雲」からきているという。価格はユーザー数が300名までの場合は1人あたり月額880円、301名~1000名までの場合は月額835円となる。
サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏は同日の記者発表会で、「今の私の気持ちを言葉にするならば、発明家が世紀の大発明をしたという思い」と自信を見せる。またサービスコンセプトは、システム構築の際に仕様書を作成したりソフトを手配するなど、数多くのフローが必要な「日本のIT業界の問題意識からきている」と話し、kintoneは「ファストフード、ファストファッションの感覚で使える」と説明する。
同日より運用を開始した独自のクラウド基盤cybozu.comでは、セキュリティ対策に加え、ログイン認証を強化している。従来のクラウドサービスはすべての企業が同一URLでログインするケースが一般的だったが、cybozu.comでは顧客ごとにサブドメインを取得し異なる専用のログインURLを提供する。
また、ログイン名とパスワードの入力にクライアント証明書を併用することで、より強固にログイン認証ができる。ユーザーごとに発行できるため、デバイスを紛失した場合でも、当人が使用していたクライアント証明書だけを無効にすることで、情報漏えいを抑止できるとする。
青野氏は、日経コンピュータが実施したクラウドコンピューティング関連企業のイメージランキングの結果を紹介。グーグル、セールスフォース、IBMなど海外企業が上位を占める内容に、「凄く残念に思う。大型コンピュータの時代、パソコンの時代とずっと日本のITは負け続けてきた。またクラウドの時代もボロ負けするのかと悔しい思い」と語る。
一方で、グーグルの「Google Docs」やマイクロソフトの「Office 365」などでアクセス障害が発生していたというデータも紹介し、「アメリカのクラウドがそこまでイケているのかと疑問に思う」ともコメントしている。
2012年にはcybozu.comの海外展開を開始する予定で、マルチデバイス対応も進めていくという。「私たちはクラウドに真剣にコミットしたいと思っている。その技術を磨くべく何年も取り組んできた。そしてついに世界よりも先を行っているクラウド基盤ができた」(青野氏)
kintoneのほか、中小企業向けグループウェア「サイボウズ Ofiice」、エンタープライズ向けグループウェア「ガルーン」などのクラウドサービスも、11月下旬から順次提供する。サイボウズ Officeの価格はスタンダードプランが1ユーザーあたり月額500円、プレミアムプランが月額650円となる。
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