キヤノンは11月4日、国内向けに映像制作用のレンズやカメラで構成する「CINEMA EOS SYSTEM」と同システムに対応する製品を2012年1月下旬より順次発売すると発表した。
キヤノンは、今回の発表にあたって「歴史的な発表」として海外のメディア向けに招待状を送っており、米国のパラマウントスタジオで発表会を開催している。キヤノン 代表取締役会長の御手洗冨士夫氏自らがスタジオに出向き「今日は日本から特別なものを持って来た」とスピーチし、新製品を披露した。すでにハリウッドにてプロ向けのサポートセンターの開設を発表しており、キヤノンはCINEMA EOS SYSTEMでハリウッドをはじめとする映像制作市場に本格的に参入する。
EF/PLマウント対応のレンズ交換式ビデオカメラを発表。キヤノンのEFマウントを採用した「EOS C300」(市場想定価格150万円前後)と、映像制作業界で普及しているPLマウントの「EOS C300 PL」(150万円前後)の2機種のレンズ交換式ビデオカメラを発売する。スーパー35mm相当約829万画素の大型CMOSセンサを搭載し、映画をはじめとした高画質な映像制作を実現するとしている。発売時期は、EOS C300が2012年1月下旬で、EOS C300 PLは2012年3月下旬。
さらに4K(4096×2160画素)に対応し、高画質で映像撮影に最適な操作性を備えたEFシネマレンズとして、スーパー35mm対応の14.5mm~300mmの幅広いズーム域をカバーするズームレンズ4機種(390万円~)と、35mmフルサイズ対応の単焦点レンズ3機種(いずれも59万円)の合計7機種発表した。2012年1月下旬より順次発売する。
このほか、4K動画記録を実現するデジタル一眼レフカメラも披露された。製品名称や詳細な仕様、発売時期などは未定だが、35mmフルサイズのCMOSセンサを搭載し、4K動画記録(24P Motion-JPEG)できる次世代デジタル一眼レフカメラという位置付けだ。
CINEMA EOS SYSTEMの開発のきっかけとなったのは、2009年に発表したデジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark II」だ。35mmフルサイズのセンサを搭載し、ムービーでも多種多様なキヤノンのEFレンズ群を使用できることからこれまでにない動画が撮影できるとして注目を集めた。国内でもドラマなどでも用いられたほか、現在上映されている「キャプテン・アメリカ」でも使用されている。
3D映画の普及などに伴い、デジタルシネマ市場は拡大しており、デジタルシネマ対応のスクリーンは2011年末で半数を超えると予測されている。撮影機材のデジタル比は現在、CM撮影で約80%、映画撮影で約50%(キヤノンマーケティングジャパン調べ)という。今後、映画撮影の分野もコスト面で有利なデジタルビデオカメラが高速に普及していくと見る。
キヤノンは、業績目標として2015年に売上高8500億円以上を掲げており、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 社長執行役員の川崎 正己氏は「達成に向けた重点戦略の1つは事業の多角化」として、第2の柱としてBtoBビジネスを伸ばしていく考えを示した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」