編集部注:今回のiPhone 4Sレビューは、前編、中編、後編に分けてシリーズ化し、デザインやカメラ、「iOS 5」の新機能、スピードなどを詳しくレビューしていく(使ったのは64Gバイトのブラックモデル、キャリアはSprint)。本稿はその前編である。
長所:Appleの「iPhone 4S」ではプロセッサやカメラがアップグレードされたほか、「iOS 5」や、便利で愛嬌たっぷりの音声アシスタントのメリットを享受できる。
短所:そろそろ画面の大型化をお願いしたい。
結論:iPhone 4Sが携帯電話界で1番とは言わないまでも、トップレベルの一角を占める存在であることは確か。高速通信の4G規格対応や画面の大型化は今回実現しなかったものの、スマート(でありながら少しまぬけ)な音声アシスタント「Siri」やiOS 5、高品質なカメラの利便性を享受できる。そのため、アップグレードをする気のある人にとっては、与えられた選択肢の中でもトップを占める存在だ。
4年前のiPhone誕生以来、2011年は6月に新モデルが登場しなかった初めての年である。待たされる間に「iPhone 5」のうわさが出回ったため、アップグレードモデルのiPhone 4Sが登場したときはネット中で落胆の声が上がった。その一部はもっと多くを期待していたという声だったが、筆者はこれにある意味で同感だ。4G接続がないのは残念だし、完全に真新しいデザインが登場すれば面白かっただろう。しかし、「iPhone 3GS」の例もあるように、Appleがアップグレード版を発表したのは今回が初めてではない。
元から素晴らしかった端末が4Sでさらに改良されたというのが実際である。64Gバイトモデルや、より高度なカメラ、デュアルコアプロセッサの高速な処理、パーソナルアシスタントやロボットのお友達、あるいは雑用係としての顔をもつSiriのおかげで、iPhoneユーザーはついに新しい体験を手に入れられる。大小さまざまな変更点があるが、(米国では)SprintがAppleファミリに加わった。iPhone 4Sが万能とは言わないが、多くの人に受け入れられる端末だろう。
がっかりした点もある。個人的には画面がもっと大きかった方がよい。
先ほど示唆したように、iPhone 4Sをひと目見ただけでは以前のバージョンと区別が付かない。しかし、その点について筆者はほとんど不満を持っていない。筆者は、MotorolaのRAZRによって幕が開けられた超薄型携帯電話の時代を生きてきているだけに、薄型デバイスに対する憧れを持っていないのだ。確かにiPhone 4Sが分厚く感じられることもあるが、筆者は手になじむしっかりとした感触を楽しんでいる(超薄型携帯電話ではこういった感触を楽しめないのである)。また筆者は、iPhoneの持つ普遍的な美というものにも不満を感じていない。薄型携帯電話は見た目に優れているかもしれないが、要は中身が肝心なのである。
また筆者は、「iPhone 5」の特徴として噂されていた、より大きなホームボタンや丸みを帯びた形状が今回実現されなかったことについても、何ら問題を感じていない。詰まるところ、筆者はホームボタンで困った経験がなく、背面の形状もテーブルの上に置いてタップしやすいよう平らになっていた方が良いと考えているわけだ。ただし、iPhone 4を落として破損してしまったという話を何度か耳にしているため、背面ガラスの存在は少し気になっている。もちろんのことながら、こういったことはケースに入れている場合、問題にならないはずだ。
デザインに関する筆者の不満は、競合する他のAndroid携帯の画面に比べると、iPhoneの画面が少し小さく見えるという点である。iPhoneの画面は2007年に発売された最初のバージョンからずっと3.5インチのままとなっている。当時は非常に大きく感じられたものの、4インチを超える画面サイズのスマートフォンも市場に出回っているため、今では3.5インチがハイエンド機における最低限度だと考えるようになっているわけである。
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