インターネット検索サービス「NAVER」を運営するネイバージャパンは10月4日、無料のモバイルメッセンジャーアプリ「LINE(ライン)」をバージョンアップし、無料通話機能を実装したと発表した。友達リストに登録されているスマートフォンユーザー同士であれば、国内外を問わず電話番号無しで無料通話できる。さらに、チャットで投稿できるオリジナルの絵文字やスタンプ機能も追加された。
LINEはiPhoneやAndroid端末、携帯電話から利用できるモバイルメッセンジャーアプリ。最大100人まで同時にグループチャットができ、画像や位置情報送ることもできる。また日本語に加え、英語と韓国語にも対応している。
このサービスの特徴と言えるのが、友人登録の際に携帯電話やスマートフォンの「電話番号」を用いること。アプリ初回起動時にスマートフォンのアドレス帳を自動で読み込み、そのなかにLINEを利用しているユーザーがいれば友達リストに表示される。友人登録に電話番号を採用したのは「信頼関係のある人とだけコミュニケーションできるようにするため」と、ネイバージャパン事業戦略室 室長 チーフストラテジストの舛田淳氏は説明する。
「いろいろなユーザーにヒアリングしたが、仲が良くない人に公開したくない情報として『住所』に次いで『電話番号』という回答が多かった。教えたくないということは当然教える人も限定されていく。電話番号を登録キーとすることで信頼関係のあるコミュニケーションができるのではないか」(舛田氏)
LINEは電話番号を軸につながるため、学生時代の友人や家族など親密な関係にある人やグループとだけコミュニケーションができる。また最近は、FacebookやTwitterアカウントでログインできるサービスも多い。しかし、LINEではあえてこれらSNSのアカウントとは連携しなかったという。
「SNSのフレンドは純粋な友達ではないこともある。仕事で出会った人などからのフレンド申請は断りづらく、そこまでつきあいがない人もどんどん増えてしまう。そうなると身動きがとれなくなり、通り一遍の発言しか出来なくなってしまう。LINEでは、“リアルな関係”をベースとした密度の濃いコミュニケーションができる、クローズドなグループコミュニケーションツールを目指した」(舛田氏)
一方で課題もある。現在は電話番号と携帯端末によってアカウントを認証しているため、機種変更などをして電話番号が変わってしまうと友人リストもリセットされてしまう。ネイバージャパンでは今後、友人リストを引き継げる仕組みを提供する予定だという。
6月23日に公開されたLINEだが、9月18日時点で世界における累計ダウンロード数が100万件を突破、さらに1日あたりの投稿数も100万件を突破した。特に中東地域のユーザーが急増しているという。8月下旬~9月上旬のApp Store無料アプリランキングでは、クウェートやサウジアラビア、カタールなど各国で1位を獲得した。この状況については「まったく想定していなかった」と舛田氏。
また最近では米国やイギリス、韓国などのユーザーも増加傾向にあるという。ネイバージャパンでは当初、年内100万ダウンロードを目標としていたが、ダウンロード数・利用率ともに好調に推移していることを受け、年内300万ユーザーに目標を上方修正した。
ユーザー層にも特徴がある。これまで同社が提供してきた「NAVERまとめ」をはじめとするサービスは、いわゆるアーリアダプター層に使われていたが、LINEでは10~20代前半のユーザーが大半を占める。舛田氏は、携帯電話で日常会話のようにメールを利用している若年層と、チャット形式かつ無料のLINEは相性がいいのではと分析する。
「若い子ほどLINEに友人が多く、実際の使い方も雑談が圧倒的に多い。電話するまでもなくメールをするまでもない、そんな隙間を埋めるコミュニケーションがLINEではできる。ユーザーの反応を見ているとLINEを使ってからメールをしなくなったという人や、月内の通信料が4000円近く減ったという人もいた」(舛田氏)
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