グリー代表取締役社長の田中良和氏は9月15日、同日から9月18日まで幕張メッセで開催されているゲームの見本市「東京ゲームショウ2011」で「ソーシャルゲームが巻き起こすパラダイムシフト」と題する基調講演を行った。
ソーシャルゲームプラットフォームを提供するグリーとディー・エヌ・エーは国内で大きな利益をあげ、現在は各国のゲーム開発会社との提携や買収を発表するなど積極的な世界展開を行っている。田中氏はソーシャルゲームがもたらした変化として、「通信環境の革新」「流通手段の革新」「販売手法の革新」の3点を挙げる。
携帯電話やスマートフォンは常にネットに接続されているため、常時接続を前提としたゲームを開発できる。「携帯電話はどこでもいつでも全員がつながるのが大きな変化。通信環境がないユーザーも想定して作るゲームと100%全員が接続環境があると思って作るゲームでは、ゲームデザインが異なる」(田中氏)
また、いつでもゲームを買えるようになったのも大きな変化だ。従来のパッケージゲームは店頭へ買いに行ったり、ネットで注文するなど、手元に届くまで時間がかかったが、ソーシャルゲームはやりたいと思った瞬間から始めることができる。
さらに、これまで数千円で販売されていたパッケージゲームは、料金の決まったレストランのコース料理やテーマパークの入園料だったと表現。田中氏は「世の中には食事した分だけ払う、使った分だけ払うという業態はたくさんある」と話し、こういった販売手法がゲーム業界にも登場したと説明した。
「通信環境、流通方法、販売手法の3つの変化が同時に訪れていることで、ソーシャルゲーム業界が大きく注目されている要因になっていると分析している」(田中氏)
田中氏はこれらの変化を踏まえ、今後5年間でさらに大きな変化が訪れると語る。デジタルカメラやワープロなど以前は専用機として利用されていたものが、今では1台のスマートフォンに統合されるようになった。
「必ずしも専用機と汎用機の対立構図ではない。大きな流れの中で専用機はその価値を提供することでマーケットを作っていけるし、汎用機もその価値においてマーケットを作っていけばいい。双方が存在することでよりマーケットが拡大していく」(田中氏)
そして今後は、スマートフォンにクレジットカードリーダーなど業務端末の機能も取り込まれていくと予測。それによってあらゆる機器の機能を統合したチップなどの基盤が大量生産されることで、劇的に高性能化、低価格化が進んでいくという見方を示した。
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