グリーは8月5日、開発者向けイベント「GREE Platform Summer Conference 2011」を都内で開催した。イベントでは、グリー代表取締役社長の田中良和氏らにより、同社の今後の展望や2011年下半期のグローバル市場の見通しなどが語られた。
スマホを制したものがコンピュータ業界を制する
冒頭で挨拶した田中氏は、PCや電話、ゲーム機などがスマートフォンに置き換わる時期がきていると説明。コンピュータ業界のパラダイムが変わる10年に1度のタイミングだと語り、「スマートフォンを制するものが今後のコンピュータ業界を制することができる」と強調する。
グリーでは、2011年から海外展開を本格化しており、1月には米国に子会社を設立したほか、中国のネット企業Tencentと提携している。4月には東南アジアを中心にモバイルSNS「mig33」を展開するProject Gothと提携し、スマートフォン向けソーシャルゲームプラットフォームを運営するOpenFeintを子会社化した。これらのプラットフォームとGREEのユーザー数を合算すると約8億3000万人におよぶという。
田中氏は、世界的なスマートフォンの普及が予想されることから、今後は最低でも数億人に利用されるサービスを提供していく必要があると強調。グリーとしても数年後には、海外市場をメインに事業展開していくと説明し、国内での収益を海外展開に向けて投資し続けると語る。
また、国内以上に海外展開に注力する理由について、「波が来たとき沖にいないやつは負ける」とサーフィンに例えて表現。「浜辺で波が来るのを待っていては間に合わない。波が来るかどうかわからないけども沖へ行くやつの中で、さらに運があるやつだけが波をつかむことができる。海外で成功が証明されてからでは遅い。日本市場で成功して大きな収益をあげ、何度も沖で波を待てるプラットフォームにならないといけない」と語った。
OpenFeintをソーシャルゲームプラットフォームに
続いて、グリー取締役執行役員CFO国際事業本部長の青柳直樹氏によって、グリーのグローバル戦略が語られた。現在は1月に設立された米国の子会社でグリーのグローバル事業を担当しているという青柳氏は、米国での自身の経験から、世界的に拡大しているソーシャルゲームマーケットの中でも「日本企業はいいポジションにいる」との見方を示す。
青柳氏によれば、世界的に見ても日本と韓国のスマートフォン市場は他国に類をみない速度で急拡大しているという。「少し前まではスマートフォンと言えば欧米の方が先行していたが、クオリティやスピード、コンテンツラインアップという意味でも、日本と韓国が追い抜こうとしている」(青柳氏)
一方で、海外のソーシャルゲーム企業も著しい進歩を見せており、北米ではモバイルソーシャルゲーム企業の資金調達も活発化していることから、「あまり時間はない」と語る。
そこでグリーは今後、各ゲームとの機能連携にとどまっていたOpenFeintに、プレイヤープロファイル機能やゲームフィード機能などのコミュニケーション要素を追加することで、ソーシャルゲームプラットフォームへの転換を図る。これにより、パートナーへの送客やエンゲージメントを強化する狙いだ。
また、夏から秋にかけて北米市場向けにグリーが自社開発したモバイルソーシャルゲームを順次提供していく。青柳氏は「プラットフォーマーとして、こういうコンテンツでいけるんだということを自分たちで証言する」と語り、日本発のコンテンツによるグローバルでの成功事例を作っていきたいと意気込んだ。
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