旅行やデートといったほかの領域でも、Facebookは人々のネットワークを活用するサービスの発展を促進しているが、独自のアプリケーション開発には手を出していない。
ソーシャルコマースの領域でさえ、Facebookはサービスを縮小している。同社は「Groupon」そっくりの「Facebook Deals」を終了させた。声明では「ソーシャル的なアプローチには、地域の商店に人々を導くための大きな力があると考えている」と語っている。だが、Facebookが言葉にしなかったことがある。他社がエンジン作りを競っているところに燃料の提供や販売を行うことで、リスクを抑えながらより多くの収穫を得ることができることに気が付いた、という点だ。
Facebookを消費者にとっての目的地、つまり、ユーザーとその時間を集約させていた場所から、ほかのアプリケーション企業のためのプラットフォームへと進化するための戦略は、同社がこれまで見せた最も重要な措置の1つだ。これは幼少期の企業から青年期の企業への変化を示している。
「Digg」や「Friendster」など、幼少期から成長を遂げなかった企業を思い浮かべてほしい。別のソーシャルサービスは、例えば「MySpace」のようにステージ移行を試みる時期を誤った。Facebookは、これまでのところ大きな転換を正しい時期に行っているように見える。
上述のように、筆者は、Facebookは青年期にあり、いまだ成人していないと考えている。そして次の成長は、「Twitter」がTwitterクライアントやサポート企業を買収したように、Facebookが自身の存在が生みだした企業を(Twitterのときよりもはるかに大きな規模で)吸収し始めるほど大きく成長したと認識するときだ。Facebookがツールやエンジニアのためではなく、ユーザーやキャッシュフローのために目的地となるサービスの買収を始めるとき、真の成熟期に達するのだろう。だが、それは何年か先のことだ。Facebookが上場企業となり、四半期ごとの純利益増、それも、活力に満ちたティーンエージャー期といえる現在でも維持できないような規模のものを示す必要に迫られるときの話だろう。
そのため、たとえ独力で行うだけの力を持っていようと、Facebookが音楽サービスを開始するにあたって他社と手を組むのは当然といえる。ある意味では、同社の音楽サービスは、「Skype」との新規かつ緊密な統合と同じように見えるかもしれない。音楽サービスについては複数の相手(最有力はSpotify)と親密な協力関係を築くかもしれないが、それらの相手を支配下に置くことはしないだろう。そして、そこで得られる経験を完全にコントロールすることもないだろう。少なくとも、ここ数年の間は。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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