その結果として、Pauley判事はRobertson氏とMP3tunesに著作権侵害幇助の法的責任があると認定した。しかしRobertson氏によると、この先例は同様のサービス、そしてGoogleにとってさえも大きなハードルになる可能性があるという。同氏が8月22日夜に米CNETとのインタビューで述べたところによると、もしPauley判事の裁定が認められれば、Googleは削除依頼通知を受け取った場合、「Gmail」から著作権侵害のコンテンツを削除する義務を負うかもしれないという。
「Pauley判事は今回、新しい法律を作った。同判事は、誰かから削除依頼通知を受け取ったら、そのソース(著作権侵害の楽曲の入手場所)に接続したほかのユーザーも追跡しなければならないという。Googleはわれわれと同じ重複除外システムを使用している。ユーザーが1つの楽曲を電子メール経由で10人に送信しても、10個のコピーを保持するわけではない。保持するのは1つの楽曲で、その楽曲にアクセスするほかのユーザーを記録している」(Robertson氏)
今回の判決でEMIとほかの著作権所有者に打撃を与えたのは、DMCAの「red-flag knowledge」に対するPauley判事の解釈だ。red-flag knowledgeというのは、サービスプロバイダーが著作権違反行為を認識していたことが明らかな場合を表す用語で、DMCAはこれを禁止している。red-flag knowledgeの例としては、あるウェブサイトが海賊版という意味を表す「pirate」や「bootleg」という用語をURLに使用している場合などが挙げられる。
Robertson氏とMP3tunesは、こうしたことはしていなかった。さらに、著作権侵害行為がまん延していることを一般的に認識していただけでは、セーフハーバー条項の適用資格をサービスから奪うことはできない、という判決を裁判所は下している。サービスプロバイダーは誰がコンテンツを違法に流通させていたのか調査する義務を負っている、とPauley判事は書いた。
Pauley判事は裁定で、「要約すると、MP3tunes.comに保存されているEMIの作品について、MP3tunesがセーフハーバー条項による保護を主張できるかついて、真の争点とはならない」と述べた。もちろん同判事は、EMIが著作権違反だと特定した作品は含まれていないと述べている。
今回の判決で何が起こるのだろうか。多くの著作権訴訟案件と同様に、手続きはもしかすると何年も長引く可能性がある。その間、ウェブにおける著作権議論の双方の立場から、相手を攻撃するのに使える重要な武器を新たに手に入れたと主張することができるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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