MP3tunes.comの創設者であるMichael Robertson氏は米国時間8月22日、レコードレーベルのEMIに損害賠償として最大7500万ドルを支払うよう命じられる可能性があるにもかかわらず、EMIとの著作権闘争で勝利を収めたと主張した。
EMIもまた、デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act:DMCA)のセーフハーバー条項をMP3tunesに適用しないよう判事を説得することができなかったにもかかわらず、同訴訟での勝利を高らかに宣言した。EMIは2007年、MP3tunesと同社の姉妹サービスであるSideload.comが著作権を侵害している音楽ファイルを検索し、MP3tunesのロッカーサービスに保存する機能をユーザーに提供しているとして、MP3tunesを著作権侵害で訴えた。
双方とも相手に決定的な一撃を加えることはできなかったが、多少のダメージを与えることには成功した、というのが真相だ。クラウド音楽サービスは著作権所有者からライセンスを取得しなくても以前より自由に活動できるようになったのかどうかは、多くの点でまだ答えが出ていない。同案件は上訴される可能性が高いことを考えると、特にそうだ。判事も、陪審によって決定されるべき問題がまだいくつか残っていると述べた。
今回のような決定は、先例として利用され、ほかの判事に影響を与える可能性がある。さらに、著作権弁護士で情報学の博士号も持つK. Matthew Dames氏によると、この訴訟は、法律の範囲内で事業を展開する方法について、ほかのサービスが理解を深めるのに役立つだろうという。
「Pauley判事は実質的に、MP3tunesがDMCAのセーフハーバー条項の適用を受けるために何をしたのかについて、段階的なガイドを提示した。それはチェックリストと呼んでもいいほどのものだった。MP3tunesと同様の状況にいる企業はそれを自社の事業で利用することができると私は考えている。少なくとも、今回の決定を参考にして、事業の穴をふさぐことができるだろう」(Dames氏)
米連邦地方裁判所のWilliam Pauley判事は、MP3tunes.comにDMCAの保護を受ける資格があるかどうかという問題について、MP3tunes.comに有利な略式判決を下した。1998年に制定されたDMCAの目的は、著作物を保護する必要性のバランスを取りつつ、ユーザーによる著作権違反行為の法的責任からインターネットサービスプロバイダー(ISP)を保護することだった。もしComcastやAT&Tのような企業にセーフハーバー条項が適用されなければ、ISPのネットワークを使って加入者が音楽の著作権を侵害したときに、著作権所有者は下手をするとISPを訴えることが可能になる。
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