EMIとMP3tunesの著作権侵害訴訟--双方が勝ち得たもの - (page 2)

Greg Sandoval (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年08月31日 07時30分

 ユーザーが生成したコンテンツやデジタルロッカーを扱う企業はセーフハーバー条項の適用を受けられるのかどうかは、誰も確かな答えを持っていないように思われた。米連邦地方裁判所が下した3件の重要な判例(Veoh、YouTube、今回のMP3tunes)からは、そうした企業にもセーフハーバー条項適用への門戸が開かれているように思える。

 テクノロジ企業を支持する電子フロンティア財団(EFF)でスタッフ弁護士を務めるJulie Samuels氏は、「われわれはISPに対するDMCAの保護が支持され、補強されていることをうれしく思う。このことは、サービスプロバイダーを保護し、ユーザーがコンテンツにアクセスできるようにすることは極めて重要であると裁判所が認めたことを意味する」と述べた。

勝ち取ったものは何だったのか

 MP3tunesはサービス運営方法の一部についてセーフハーバー保護を認められたが、それ以外については認められなかった。DMCAの要件の1つに、著作権所有者から通報を受けたら、サービスプロバイダーは著作権に違反するコンテンツを削除しなければならない、というものがある。MP3tunesによるコンテンツ削除は、判事が満足できる水準に達していなかった。

 Sideload.comは、ユーザーが無料の音楽を見つけるのを支援するサービスだ。ユーザーには、Sideload.com経由で入手した無料の音楽を自分のMP3tunesのロッカーに自動保存するオプションが提供される。EMIは2007年、MP3tunesに削除依頼書を送付し、同社に対して著作権に違反するリンクと楽曲を同社システムから削除するよう要求した。MP3tunesはリンクを削除したが、デジタルロッカーに保存された著作権違反の楽曲は消去しなかった。MP3tunesの主張は、Viacom対YouTubeの訴訟案件で、個々の具体的な著作権違反事例について削除依頼通知を送付するのはサービスプロバイダーの義務であると裁判所が裁定している、というものだった。

 判事は、MP3tunesのケースは別のものであり、同社はサイトから著作権違反楽曲を排除する作業に積極的に取り組むべきだったと書いている。

 「MP3tunesは通知の影響が及ぶ範囲をあまりにも狭く解釈している。MP3tunesは著作権を侵害しているリンクをSideload.comから削除したが、ユーザーに対し、ユーザーのロッカーに保存された著作権を侵害しているEMIの音源のコピーに対する無制限アクセスを禁じることは一切なかった。それらのユーザーはその後も、MP3tunesのサーバからそれらの著作権侵害のコピーを自由にダウンロードし、体験し続けることができた。したがって、ユーザーが原告作品の著作権を侵害しているコピーを保存し、アクセスし続けていたことをMP3tunesが実際に知っていたのは、真の争点とはならない」(Pauley判事)

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